« 19961204 柳田邦男 『犠牲(サクリファイス) わが息子・脳死の11日』 | トップページ | 19961218 長田弘 『失われた時代 1930年代への旅』 »

19961216 宮部みゆき 『レベル7』

宮部みゆき 『レベル7』
 「ポルケ・ブック・レビュー http://www.booxbox.com/porque/」より

 12月5日、宮部みゆき(1960- )『レベル7』(新潮文庫 1993)を読みました。

 ミステリーです。重い主題の本が続いたので、肩の凝らないものをと思ったのですが、夜更かしして肩凝ってしまいました。とほほ。

 『このミステリーがすごい!』(宝島社)という本があるそうです。朝日新聞11日付夕刊に、『このミス'97』の全面広告が載っていて、その存在を初めて知りました。年一回刊行で、その年のベストミステリーを選考し、もう九年続けて出版されているとか。
 その広告によると、宮部みゆきさんは「実力派」で、92年に『龍は眠る』93年に『火車』という作品がそれぞれベスト5入りし、今年度も『蒲生邸事件』という本がベスト10内にノミネートされている。なにもかにも、全然知りませんでした。
 かように私は、ミステリーというジャンルに弱い。
 そんな私が、初めて読んでみた宮部さんですが、なかなか面白かった。宮部さんの他の作品も読んでみたくなりました。(どうも『レベル7』が、この人の最高傑作でもなさそうなので)。

 香山二三郎さんによる文庫本「解説」、
 「宮部さんの長編第四作に当たる本書は(中略)一九九〇年九月、新潮社より刊行された。「レベル7」という謎のキーワードをめぐるふたつのスリリングな追跡行を描いたサスペンス・スリラーである。」。
「影響を受けたのは主にスティーヴン・キングを始めとする海外作家だという。」

 うーん、ここにもまたキングさんの名前が・・・。

 スティーヴン・キングが好きな作家の作品で、二つの一見無関係な話が徐々にリンクあるいはシンクロしていく話といえば、私はどうしても村上春樹さんの『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を思い出してしまいます。
 私は、1990年から翌年にかけて出版された『村上春樹全作品1979-1989』全八巻を所有するほどの、村上春樹ファンなのです。その全巻に付録で付いている「自作を語る」の、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』編によれば、

 「その二つの話をどのように結びつければいいのかは自分でもよくわからなかった。でもとにかく手を動かしながら考えるしかないと思って、何はともあれ二つの話を同時に書き始めた。だから「ハードボイルド・ワンダーランド」という話と、「世界の終り」という別々の物語がどういう風に連携し合体するのかは、僕自身にとっても謎であった。もちろんなんとなくこういう感じだろうという漠然としたアイデアはあったけれど、それに目鼻がついてきたのはずっとあとのことだった。」

 『レベル7』の二つの追跡行の方が、嘘とはいえ、もちろん現実的な話です。プロットとしてつじつまがあわないものはミステリーとして読者に受け入れられないでしょうから。
 村上さんの「二つの話」は、想像力の産物で、作者ご本人も最後には何とかなると思ってらしたように、優れてなんとかなってしまっている。
「物語り」というものは不思議なもので、それがどれほど現実離れしていようと、優れた嘘の大きなリアリティには、人間、唸ってしまう。
 というわけで、『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』という本が面白そうだなあ、と思っています。「人間にとって物語とは何か。現代を生きることと物語の可能性をめぐって、最も深い場所から人間をみつめる二人が徹底的に語り合う。」(広告文)だそうです。

|

« 19961204 柳田邦男 『犠牲(サクリファイス) わが息子・脳死の11日』 | トップページ | 19961218 長田弘 『失われた時代 1930年代への旅』 »

12 ポルケ?ブックレヴュー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 19961204 柳田邦男 『犠牲(サクリファイス) わが息子・脳死の11日』 | トップページ | 19961218 長田弘 『失われた時代 1930年代への旅』 »