19970108 チェ・ゲバラ 『ゲバラ日記』
チェ・ゲバラ 『ゲバラ日記』
「ポルケ・ブック・レビュー http://www.booxbox.com/porque/」より

12月26日、チェ・ゲバラ『ゲバラ日記
』(みすず書房)を読みました。
「ゲバラ[Ernesto Che Guevara](Cheは愛称)ラテン・アメリカの革命家。アルゼンチン生れ。キューバ革命に参加し、カストロ政権下で要職を歴任。ボリビアでゲリラ軍の指揮中に捕えられ処刑。(1928-1967)」(広辞苑)。
1966年11月7日から1967年10月7日まで、そのボリビアで書かれた日記です。没後すぐキューバ政府の手によって出版された本。日本語訳は翌年の刊行。
共産ゲリラ、最近の報道表現では「テロ組織」に落ち着いてきているようですが、MRTAによる、ペルーはリマの日本大使公邸占拠事件が起る数日前、Kさん通信に、ボリビアから帰国されたばかりのJICAの方が登場されました。私の同報の同人で南米通のYEさんにその方のメールを、久米さんとその方の承諾を得た上で、転送したのですが、その矢先MRTAの事件が起きました。
買い置きの『ゲバラ日記』を手にしたゆえんです。
私の年齢からいって、どこか目の端耳の端に引っかかっていたゲバラの存在を強く意識するようになったのは、一枚の写真を見てからでした。それは、「マグナム」に所属していた写真家ルネ・ブリ(Rene Burri 1933- )が撮影した1963年、おそらくはキューバ政府の閣僚であった、ゲバラの肖像写真でした。雑誌「太陽」1990年7月号、特集「世界を創った肖像写真100枚」中の一枚。写真のキャプション「自分の部屋でリラックスして葉巻をくわえるゲバラは、カリスマ性と日常性を合わせ持っているようだ」。
なんと申しましょうか、私はその写真に、傲慢にも繊細にも見えるそのゲバラの表情に、魅せられてしまったのですね。
ボリビアでの日記を読む限り、その写真から受けた印象は正しいものであったとわかりました。共産主義の革命家であると同時に、生涯を通じての喘息持ち。政府要人の地位を捨てて、困難な第三国の「解放革命闘争」に参加する鉄の意志と、食糧難に苦しみ高地をうろつき回るばかりのゲリラ活動の合間に毎日日記を綴る気質。
この同報メールのNo.00013で「日記気質」について書きましたが、ゲバラもまさしくその気質の持ち主だったようです。
たとえばクリスマス・イブ。「二十四日 ノーチェ・ブエナ(クリスマス・イブ)に捧げられた一日。(中略)最後にはみんな集まって楽しい時間を過ごした。はめをはずした者もいた。(後略)」。ゲバラのラストクリスマスになったわけですが。
たとえば二月の分。「十一日 父の誕生日(六十七歳)。」「十五日 イルディータの誕生日(十一歳)。」「十八日 ホセフィーナの誕生日(三十三歳)。」「二十四日 エルネスティコの誕生日(二歳)。」。どの日の分も、最初の一行。異国の地で、家族を思い、山中をさまようゲリラ。
ボリビア政府軍捕虜を、無闇に殺すことなく、釈放するゲバラ。喘息に苦しむゲバラの五月十三日「げっぷ、おなら、もどし、下痢の一日。オルガン・コンサートもかくやと思われる。」。
最後に愛称Cheの由来を。「ゲバラの愛称「チェ」はこの時からはじまる。ゲバラが名前を知らない友人をよぶときの、アルゼンチンでの呼び方である「チェ」を頻発したことが、仲間のキューバ人に強い印象をあたえたのである。」(172ページ)。
これは「オタク」の語源の、「おたくは・・・?」の「おたく」ではないか。
ゲバラは「オタク革命家」だった、というのが私の結論。
親愛の情を込めた。
『ゲバラ日記』 チェ・ゲバラ 仲晃・丹羽光男訳 みすず書房 1968
EL DIARIO EN BOLIVIA Noviembre 7,1966-Octubre 7,1967 del Che Guevara
(私は近所の関西大学前の古本屋で買いました。値段の下に「品切」と書かれています。入手困難な本を紹介することの是非についてご意見いただければと思います)
『ゲバラ日記』に序文を寄せている「同志」カストロについて知りたくて買った(未読)のが、
『カストロ 民族主義と社会主義の狭間で』 宮本信生 中公新書1292 1996
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