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19970224 都村長生 『なんしょんな!香川』

都村長生 『なんしょんな!香川』
 「ポルケ・ブック・レビュー http://www.booxbox.com/porque/」より

  

 2月19日、『なんしょんな!香川』都村長生(株式会社ホットカプセル)を読みました。
 私の妻の実家がある香川県の、ローカル本です。先月、高松市内で購入しました。

 背表紙に書き連ねられる言葉を見る限りでは、「トンデモ本」の濃度の薄いやつか、と思わないでもないです。
「「21世紀の出島」化すれば香川は夢の変身を遂げる!」の大見出しに続いて、「瀬戸大橋も高速道路も、無料にすれば借金は解消する 早明浦ダムの水を正しく分けるだけで香川の渇水はなくなる 全香川県民の食べる米はたった10人で作れる 「杜」を創らなければ豊かさは実現しない 瀬戸内海は沖縄級の美しい海に変身できる 不公平な規制をやめれば、300坪の土地に100坪の家が持てる 高松--東京都心はさらに1時間短縮できる 香川のGNPはたった2人で生みだせる」

  発行元があの『恐るべきさぬきうどん』の⑭ホットカプセルときては、疑いの念も増すばかりですが・・・。
 著者紹介を見てみましょう。つむら・たけお、東大工学部出身、米国でMBAを取得し、マッキンゼーを皮切りに経営コンサルタントとして活躍、ダイヤモンド社発行の著書がある、とのこと。「トンデモ本」呼ばわりは、とんでもない誤解だったようです。
 それ以外の情報をまとめると、仕事は東京、週末は高松ですごし、94年の渇水には高松市民として給水制限に苦しみ、『恐るべきさぬきうどん3 最後の聖麺』では隠れうどん通として登場する。
 結局、なんかだんだん「トンデモ」化してきましたが、田尾和俊さんが書く『最後の聖麺』後書きから引用しますと。

「何と琴平出身の都村さんは昔から大変なうどん通で、かなり大量の店を食べ歩いていて、さらに今も東京と高松を毎週往復する身でありながら相変わらずの麺通で、東京から知人を連れてきてうどんツアーもやっているという事実が判明したのである。
 事実ベースの話は説得力がある。さらに続いて、経営コンサルタントならではの分析がどんどん飛び出してきた。曰く、
「うどんは初期のマーケティングを間違ったばかりに、都会をそばに制覇されるハメになった」
「うどんがなければ、香川のGNPはもっと上がっていた」
「オーストラリアの物凄い企業努力をちゃんと知れば、県産小麦の復活が不可能なことは誰でもわかる」
 などなど。そして我々が「うまいうどん屋の選定」をやっているという話を聞いた都村さんは、すぐさまこう言った。
「それ、私も仲間に入れてくださいよ。それで毎年1回、1カ月ぐらいの間に麺通たちで一気に県下の店を回って、きちんとした評価基準で星つけましょうよ」」

 やはり田尾さんによって書かれた『なんしょんな!香川』あとがきから。

「この本は、都村さんの自費出版です。しかも、制作を担当した私が言うもの何ですが、印刷した本、全部売れても全然元が取れません。ビジネスの世界で言えば、ノット・ゴーです(笑)。とにかく、地元香川の人に現状を知ってもらいたいという、それだけの気持ちです。意気に感じた私は(ならリスクをかぶってあげんかい!)、ウチもビンボーなので厚意に甘えて、その代わり1行書いたら100万円は取るという私の肉体労働を精一杯サービスして発刊に漕ぎ着けたのです。だから普通は、おいそれと大金を持ち出して、ホイホイと本を出すわけにもいかん。
 福祉の次に教育問題にも提言があるそうです。さらにまだまだ・・・。でもこの間、都村さんが「すごい資料集めなくちゃいけないし、疲れちゃった・・・時々なんでここまでしなくちゃいけないのかなと考えることがある・・・」と言ってました。いかんいかん。本書を読まれた方は、ぜひ多くの人にお薦めください。成果をあげて、続きを読みたいじゃありませんか。」

 著者自身の「はじめに」から。

「次に第二の要望「県行政からの反応は?」
 残念ながら、私の提言はほとんど無視されたようです。現在11月、発表後2カ月たちますが何のレスポンスもありません。間接的にはいろいろと聞こえてきますが、それもどちらかといえば官僚の愚痴、とるに足らないものばかりです。
 私は今、少し苛立っています。
 私の提言は行政にとって無理難題だったため、無視されたのでしょうか?
 いいえ、私はできる限り客観的なデータに基づいた推論を積み上げたつもりです。またどう考えてもビジネスの世界では至極"常識的"なことを言ったにすぎません。
 とすれば、正論故に無視されたのでしょうか?
 モノ言えば唇寒し・・・少し放っておけばほとぼりもさめるだろう、という訳なのでしょうか。」

 94年の渇水のとき、干上がった早明浦ダムの様子がよく報道されていました。
 がしかし、都村さんの調査によると、同じ早明浦ダムを給水源とする徳島県では、水が余っていて、余った分はそのまま海に垂れ流し状態だったそうです。
 どうしてそんなことになるのでしょうか?
 そういう事実が、一個人の無償の努力によってしか判明・公開されないとは、どういうことなのでしょうか?



『なんしょんな!香川』 都村長生 株式会社ホットカプセル 1996 1200円

『恐るべきさぬきうどん 3 最後の聖麺』 ゲリラうどん通ごっこ軍団(略称麺通団)編集 株式会社ホットカプセル 1996 1100円

 都村さんの本:
 『企業変身』
 『日本変身』
 『企業「核跳」変身』(いずれもダイヤモンド社)



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