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19970316 群ようこ 『鞄に本だけつめこんで』

群ようこ 『鞄に本だけつめこんで』
 「ポルケ・ブック・レビュー http://www.booxbox.com/porque/」より 

 3月6日、『鞄に本だけつめこんで』(群ようこ、新潮文庫)を読みました。

   *

 24冊の本を自らの生活雑感とリンクさせて紹介する、エッセイ風ブックガイド(当然ときどき、ブックガイド風エッセイにもなる)。
 先月母親になったばかりのFMさんは、私の妻のいとこでこの同報の同人でもあるのですが、その彼女のお薦め本です。群さんの本を読むのは、私にとって、初めてのことでした。

 文庫カバーの著者紹介によれば、「1954(昭和29)年、東京都生れ。日本大学芸術学部卒。六回の転職を経て、本の雑誌社勤務時代にエッセイを書き始め」、以後独立とのこと。
 昭和33年生まれの私には、群さんの描く昭和30、40年代の時代の姿が、ある種の懐かしさとともに、面白いものに感じられました。「てなもんや三度笠」と「シャボン玉ホリデー」の時代。家から外に出ると、都会でもちょっとした暗闇がそこここに存在した(らしい)時代。
 「本の雑誌」との出会いは、群さんにとって、天の啓示だったのでしょう。六回の「転職」のすえ、「天職」に巡り会ったという感じ。「好きこそ物の上手なれ」「へたの横好き」、相反する諺があるわけですが、統計をとってみればおそらく「へた」のほうが圧倒的に多いなかで、群さんの無理なく自然な文章はやはり才能というものでしょう。あやかりたいものです。

 作家原田宗典さんの解説。

「さて本書は、読書の達人というか本の達人というか、とにかく活字中毒者であることは間違いない群ようこ氏による、気合の入った読書案内の体裁をとっている。全部で二十四冊。実に自由奔放、変幻自在に選択された本の数々が、おさめられている。
 しかし本書を単なる読書案内として捉える日とは、まずいないだろう。これは読書案内の姿を借りた、群ようこ案内である。一読すれが彼女がどんな人間で、どんな歴史を持ち、どんなものを愛し、どんなものを「ケッ」と思い、どんなふうに生きたいと考えているのかが、いつのまにか分かってしまうような仕組みになっている。そこが本書の第一の魅力である。」

 原田さんの解説に異を唱えるとすれば、「変幻自在に選択された本」という部分です。近代日本文学の中から群さんに選ばれた二十四冊で、私には相当限定された読書に思えます。それが意図的なものかどうかは、初群体験の私には判断しかねるところです。
 後半部の「群ようこ案内」であるという説は、原田さんのおっしゃるとおり。「1冊目 幸田文「父・こんなこと」/父親は、なぜか、どうも恥ずかしい」という文章から始まる「群世界」は、ちょっと風変わりな(どっかへんじゃない家族が存在しないのは、どっかへんじゃない人間が存在しないのと同じことではありますが)家族たちとの、つきあいやつながりが淡々と描かれていて、楽しめました。

 『読書癖』読書とあわせて考えてみても、読書案内本だけでも一ジャンルとして、相当数の本の数があるだろうことは想像がつきます。
 ホームページ上に「本案内」本案内ページでもつくろうか、と思った次第であります。
 面白い「本案内」本、ご存じの方はどうぞご一報下さい。

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 『鞄に本だけつめこんで』 群ようこ 新潮文庫 480円 1990

 私の好きな「本案内」本:
 『私の二十世紀書店』 長田弘(1939- ) 中公新書646 1982
 『本の神話学』 山口昌男(1930- ) 中公文庫 1977

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