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19970330 内田春菊 『ファンダメンタル』

内田春菊 『ファンダメンタル』
 「ポルケ・ブック・レビュー http://www.booxbox.com/porque/」より

 3月18日、『ファンダメンタル』(内田春菊、新潮文庫)を読みました。

   *

 漫画です。この同報に登場した、水木しげる手塚治虫、内田春菊、そして次回ご紹介する予定の高野文子、と来れば、日本の漫画が描き出せる世界の幅広さに改めて驚嘆せずにはいられません。

 さて。
 ヴァーチャルリアリティの世界では決して体感できないものの一つに、触覚があります。有機物無機物様々な肌ざわりやその土地その場に独特な空気の感触、等々。「たまごっち」は、きっと、そのうち飽きますよね。ペットを飼うことの快感のかなり大きな部分は、触感を味わうことにあると思えるからです。
 今はなき雑誌『アニマ』のペット特集号で内田さんと対談した動物行動学者日高敏隆さん(現滋賀県立大学学長)が、この文庫本の解説を書いておられるのですが、その解説中での「今とはちがって何か幼い感じのした春菊を見ていると、この人はペット感覚の鋭い人なんだ、と思ってしまった。」という指摘は相当鋭い。
 「ペット感覚の鋭」い内田さんは、当然のことながら、そのとき(どのときだ?などと突っ込みを入れないように)の「肌ざわり」を描くことに長けています。こないだ紹介した手塚治虫の遺作『グリンゴ』にも、ベッドシーン(笑)があるのですが、これは稚拙。大手塚は、死ぬまでエッチシーンがへただった(比較するのが間違いか?)。
 山藤章二さんにも誉められたという、内田さんの「ファンダメンタル」なエッチシーンの数々は、忘れていた触感を蘇らせる力があります。「社会の中でどーとかこーとか、ということをできる限り抜きにして、人を好きになる気持ちを考えてみたい」というのが、『ファンダメンタル』の一番大きなテーマだそうです。「人を好きになる気持ち」と「ペット感覚」が実は相当近いところにある、という内田さんの、意識的かどうかは知りませんが、洞察は、深いです。

 田原は思いました。
 恋愛の本質は、相互ペット化である。触感の相互リンク、とでも申しましょうか。
 そして、一度味わった触感は、決してリセットできない。
 でしょ?


 『ファンダメンタル』 内田春菊(1958- ) 新潮文庫1997

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