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19970426 大塚勇三・赤羽末吉 『スーホの白い馬』

大塚勇三・赤羽末吉 『スーホの白い馬』
 「ポルケ・ブック・レビュー http://www.booxbox.com/porque/」より

 4月17日、『スーホの白い馬』(大塚勇三・再話 赤羽末吉・画 福音館書店)を読みました。

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 ここ数ヵ月来、探していた本でした。等々力政彦君もこの本がきっかけで、モンゴル系民族の多く住むTUVA共和国を毎年訪れるようになったそうですし、泉南のだんじり系才媛(なんのこっちゃ?)「風」さんも、その本は思い出の一品であるとのことでした。五十六話では、岡本さんから小四の教科書に載っているとのご指摘をいただき、是非見てみたいものだと恋焦がれていたのです。

 今は江別市民の田原一家がまだ吹田市に住んでいたときのこと。田原母子が、たまたま南千里の市立図書館は児童書スペースで寛いでいたらしいのです。娘緑(一歳十一カ月、もちろん字など読めない)が子供の本が何千と並ぶ書棚からランダムに抽出してきた数冊の本の中に、ほかでもないこの『スーホの白い馬』が紛れこんでいるのを、妻純子が発見。この同報の第一読者である妻が、旦那を驚かそうと借り出してくれていたのでした。

 『スーホの白い馬』は、短くて単純な物語です。その素朴さゆえに、冗長で複雑な物語より、読者に訴えかける強さを持っているようです。

 そして、赤羽末吉さんの絵が素晴しい。モンゴル系事情通の等々力氏によれば、赤羽さんはもうお亡くなりになっておられるそうですが、戦争中は満蒙地帯に出征していたとのこと。モンゴル高原の広大さが、その地を訪れたことのない田原にも、伝わってくるような気がします。
 1967年の初版で、以来年々版を重ね、読み継がれている事実に、納得しました。

 今やTUVA音楽の演奏家でもある等々力氏の情報によりますと。

 モンゴルの人の間では、意外にも、『スーホの白い馬』の認知度は低いのだそうです。(説明不足かもしれませんので、念のため、田原の知っている範囲で解説します。遊牧を本業とするモンゴル民族は、内蒙古・外蒙古・ロシア共和国内TUVA共和国にまたがって、多く生活しています。内蒙古は中華人民共和国内蒙古自治区、外蒙古はモンゴル国、TUVAはモンゴル国東北部に国境を接するロシア共和国内の自治共和国です)
 また、TUVAには『スーホの白い馬』に似た物語が存在し、その細部に従えば「本当に馬頭琴が作れてしまう」のだそうです。『スーホの白い馬』で、瀕死の白い馬が説明する製作工程では、残念ながら、楽器にならないんだそうです。
 おそらく、民間伝承をテキストとして定着する際、多少の歪曲・変形があったのだろうというのが、等々力氏の意見でした。

 確かに、前回前々回の同報で紹介したフランス文化の日本語表現化がよい例かもしれませんが、一つの文化のあるがままを正確に異なるメディアで再構築・表現するのは至難の技のようです。
 だからこそ、「ミスマッチ」「勘違い」が、新しい文化を生むという可能性も否定できないわけで、文化輸入も良し悪しでしょうというありきたりな結論でお茶を濁す、いつもの田原流で失礼しますが。

 『スーホの白い馬』、本屋でちゃんと買って、家にちゃんと置いておきたい本でした。


 『スーホの白い馬』 大塚勇三・再話 赤羽末吉・画 福音館書店1967

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