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19970707 伊東一雄・馬立勝 『野球は言葉のスポーツ』

   * [メジャーリーグこそ我が人生―パンチョ伊東の全仕事] 伊東一雄

伊東一雄・馬立勝 『野球は言葉のスポーツ』
 「ポルケ・ブック・レビュー http://www.booxbox.com/porque/」より

 6月20日、『野球は言葉のスポーツ アメリカ人と野球伊東一雄馬立(まだて)勝(中公新書)を読みました。

 伊東さんとは誰あろう、知る人ぞ知る、あの「パンチョ伊東」さんです。

 「野球ファン七掛けの法則」というのをご存じでしょうか?
 まず、大前提としてパリーグのファンはこの世に存在しないことにします(ここで一部の方の怒りを買う)。その上で、(セリーグ)野球ファンの70%がジャイアンツファン(ここでも一部の方、主に関西方面?、の怒りを買う)とし、残り30%の七掛け、21%がタイガースファン、以下、率だけをあげると、6.3%、1.89%、0.567%、0.243%と続き、3,4,5番目になるチームはその都度変動するものの、6番目の横浜ベイスターズのみ不動(ここでもほんの一部の方の怒りを買う)という、知っていても何の役にもたたない、それどころか生真面目な野球ファンに教えたならケンカになりかねない、法則であります。
 ちなみに私は隠れベイスターズファンでありまして、大洋ホエールズの頃は「真性」のファンでした、このチームのファンを続けるのは大変健康によろしい。なぜなら、間違っても優勝争いに絡んだがためにファンとして気をもむということがないからです(ここでお仲間のベイスターズファンの怒りを買う、と思いきや思いっきり納得されたりして)。前回(今回があるわけではないが)のリーグ優勝及び日本一は昭和35年、60年安保の年のことだそうです。私は2歳です。阪神の優勝・日本一が85年ですから、四半世紀ごとに「異変」が起きるのかもしれません。次は、2010年ですか。ははは、人類が滅亡してなければよいが。
 漫画家のやくみつるさんも、ベイスターズファンでしたよね、確か。

 先月の10日前後、アメリカからファンク Funk さん一家がわが家を訪れました。五十代半ばのご夫妻と十代の女子大生一人の三人家族なのですが、シカゴ郊外のホームウッドというところにお住まいで、お父さんは特に野球好き、ひいきのチームはシカゴカブス。
 カブスといえば、今年は開幕何十連敗だかしたはずですが、これが百年近い伝統のあるチームで、人気に関してはもう一つの地元チームシカゴホワイトソックスより高いということでした。
 何年か前には、やはりイリノイ州から日本にやってきたオーガスタナ大学の学生諸君と、吹田市は万博公園で草野球をしたのですが、メジャーリーグでも試合途中に歌われるという「野球場(Ball park)に連れてって」という歌を「試合途中」に合唱してくれました。校歌でも球団歌でもなく、プロの試合から草野球までどこでも歌える、そんなテーマソングを持ったスポーツとそんなスポーツを持っている人達は幸福だなと思います。
 シカゴカブスの不思議な球場の話、「Ball Parkに連れてって」の話、ともに『野球は言葉のスポーツ』で言及されています。

 最近、日米の野球の違いを実感させられたのは、例の審判交流で日本にやってきたディミュロ審判員に対する暴行事件ですね。6月5日の中日横浜戦で、判定を巡って中日の大豊選手から暴行を受けたとして、急遽帰国することになったという事件です。NHKの「クローズアップ現代」でも取り上げられいました。
 知り合いが誌面に登場するというのでたまたま開いた「週刊東洋経済」に、ディミュロ事件の記事がありました。「覆面座談会 今週の問題」ページで題名は「野球とベースボールは別物」。ちょっと引用しますと。

 「Z それに、野球機構やリーグの審判に対する態度が違う。日本では審判を守ろうという意識がない。不明確なジャッジをすると厳重注意を受けたり、退場処分を出すと制裁金すら審判に科すことも・・・。
Y それに比べてアメリカでは、機構全体で審判を守ろうという姿勢がある。
 ロイヤルス対カージナルスのワールドシリーズで、審判のジャッジ--日本流に言うと誤審--で、カージナルスがワールドチャンピオンになり損ねたことがあった。その時、世論は当然その審判を叩いたが、大リーグが機構を挙げて彼を守り、最終的には審判仲間やカージナルスの選手までもが彼を守った。 」

この「誤審」事件についても、『野球は言葉のスポーツ』で言及されています。

   ちなみに中日の大豊選手にはディミュロ事件に関してはそれほどの制裁もないままだったのですが、先日観客から汚い野次を受けた際、頭にきて客席にバットを投げ込み、中日球団の判断で三日間の出場停止になったそうです。
 ディミュロ事件からちょうど一月、私は思わず「ディミュロのたたりか?」と思ってしまいました。中日球団も前の事件のときに突っ張らないで「一ヵ月の出場停止」ぐらいにしておけば、客商売の人間が客に暴行などという珍事は招かなかったものを・・・。(台湾から日本に渡り、日本国籍を取得して頑張る真面目な大豊選手に、心無いファンが「人種」うんぬんの野次を飛ばしたらしいです)
 おそらくアメリカのメディアは、「ディミュロに暴行をふるった選手が、観客にまで」という形で、大豊選手について報道することと思います。
 「クローズアップ現代」には、中日監督の星野さんも登場し、「アメリカのはベースボール、日本のは野球でまったく違うものなんです」と堂々力説されておりましたが、本当にそうなんでしょうか(ちなみにルールは、英語か日本語かだけの違いで、同じルールでやっているそうです)。そういいつつも、結局ガイジンの「ベースボールプレーヤー」をたよりに「日本野球」をやっているのはなんだか滑稽です。ちなみに中日球団は今、外国人選手として、アメリカからパウエル選手ゴメス選手、韓国から宣選手を迎えています。どの選手も素晴しい選手です。7月6日現在、中日は横浜より下の五位。ガイジン3選手がいなかったなら、どうなっていたことでしょう(「クローズアップ現代」で流されたディミュロ事件の映像で、ただ一人ゴメス選手がディミュロ主審を守っている様子が映し出されました。今年一年目のゴメス選手が、来年も日本でプレイしていることを祈らないではいられません)。
 いずれにしても、今後中日球団のアメリカでの評判が高くなることはないでしょう。他の選手たちがやる気をなくすぐらい金を積まなければ、いいガイジンはこないでしょう。来たとしても金持って逃げるでしょう。
 その一方で、横紙を破ってでも「ベースボール」をしたい日本の「野球」選手は増加する傾向にあります。

 現実離れしていていずれ守り切れなくなる内輪のルールに執着して、結局傷口を深くする。
 「野球ファンの大半は、実社会の反映をそこに見ている」という説もあります。その真偽はともかく、「スポーツも、それが行われている実社会を反映する」傾向があるのは、確かなようです。


 『野球は言葉のスポーツ アメリカ人と野球』 伊東一雄(1934-  )・馬立(まだて)勝(1945- ) 中公新書1019 1991
#野茂や長谷川や伊良部が、大リーガーとしてどんな言葉を残してくれるのか、楽しみです。

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