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19970723 柳田邦男 『人間の事実』

柳田邦男 『人間の事実』
 「ポルケ・ブック・レビュー http://www.booxbox.com/porque/」より

 7月11日、『人間の事実』(柳田邦男、文芸春秋)を読みました。

   * [人間の事実] 柳田邦男

 1992年10月から1993年8月にかけて柳田さんの責任編集で刊行された、『同時代ノンフィクション選集(全十二巻)』の各巻んにそえたノンフィクション関係の作品年表とテーマ別解説分をベースに、「「いま」という時代の日本と日本人の変貌の全体と細部を抽出することを試みた」(「はじめに」)本。
 すぐれたノンフィクションに関するすぐれたノンフィクションであると同時に、ノンフィクションの読書ガイドであり、データベース(巻末の18頁に及ぶ書名索引!!)でもあります。

 「複眼の視点」という言葉。
 「吉展ちゃん事件」を扱った本田靖春さんのノンフィクション作品『誘拐』について書かれた部分、

「本田氏は、このようなねらいのドキュメントを書くにあたって求められる取材の視点について、しばしば「複眼の視点」というキーワードを使っている。事件を刑事の眼だけから見るのでなく、被害者の眼からも、加害者の眼からも見る。日米経済摩擦であれば、東京だけから見るのでなく、農村からも、ワシントンからも、カリフォルニアからも見る。見る位置を柔軟に移動するのである。」(297p)

 複眼どころか、固定状態の単眼で、物事をみている人が多いような気もします。固定の単眼で観察するなら、気長に定点観測していただきたいものですね。前回紹介した小林さんの作品を、ある時期からまったく読まなくなったのは、その視点に共感できなくなったのかもしれません。小林さんの作品はどれも、すぐれた「定点観測」の結果書かれたものではあるのですが。

  596頁で2,000円。お買い得です。 


 『人間の事実』 柳田邦男(1936-  ) 文芸春秋 1997

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