19971011 中島らも 『今夜、すべてのバーで』
中島らも 『今夜、すべてのバーで』
「ポルケ・ブック・レビュー http://www.booxbox.com/porque/」 より
10月8日、『今夜、すべてのバーで』(中島らも
講談社文庫)を読みました。
「早いもんやな、もう半年やで」
「なにが?」
「なにがって、あんた、わからんのかいな?」
「はあ・・・。ああ、便秘ですか? えらいこってすなあ。」
「そう、コーラック買うてんか、・・・・。おい、通信上で、ボケかましてどないすんねん。」
「そやねえ、「おもろい夫婦」思われてもねえ」
「古いなあ、あんたも・・・。関西を離れて、や。」
「関西を離れて・・・。」
「そう。」
「関西を離れて三千里。」
「そう。さすがシベリア、ごっつ、寒いなココ。・・・。ちがうやろ!」
きりがないのでやめます(関西圏の皆様、へたな関西弁で失礼いたしました)。
先日、札幌でも初雪が降りました。札幌に来た直後の四月下旬にも雪を見ていますから(ストーブ、たきましたがな)、雪の降らなかった月は、五から九のわずか五ヵ月ということになりますか。
さて、関西出てからはや半年、なにがさびしいかというと、中島らもさんの「べた」な話が聞けないのがさびしい。らもさん、ようけテレビ・ラジオ、出てはりますからねえ。
「関西顔兄弟」のひさうちみちおさんとのうだ話は絶品でした。
「中島らもさん、ゆうたら、まあ、話芸と文芸、甲乙つけがたい天才ちゅう感じですかね(だらだら、ぼそぼそ)」というような話し方をされます。
らもさんの実体験に基いた、アル中患者が主役の小説です。
読ませます。
病後の定期検診に来札していた父の検査終了を待合室で待ちながら読む、という絶妙なシチュエーション(たまたま本を持ってなくて、病院の購買でらもさんなら間違いあるまいと適当に買った一冊)。
おなかのあたりが「かいーの」になりました。
例によって引用を。
主人公「アル中」小島と「担当医」赤河の会話「朝まで生アル中」。
では、赤河さん。
「「しかしな、ことアル中に関して言えば、昔はそれこそ隔離病棟にぶち込んで断酒させるだけが療法で、アル中は "気違い" だと思われてたんだ。十八世紀のフス以前は、アル中は "罪人" だとされていた。一歩ずつ解明されていってんだ。それにつれてよくなっていってる。あなたみたいの白か黒か、今すぐ決着つけろって考え方じゃ、昔に逆もどりしてしまう。科学は気が長いんだよ。精神病理学もしかりだ。わからないことや誤った学説が多いからってそうクソミソに言われたんじゃ、科学者も医者も立つ瀬がない。ことに精神病理学の医者なんてのは、現場で地を這うようにして、人間相手の研究を続けてるんだからな」
「わかりましたよ。口が過ぎたかもしれない。ただね、おれはアル中だからね、わかるんですがね。学者はどんなにアプローチを変えてもアル中の本態にまでは近づけないですよ。それを幼児体験だの、わかったような分析をされるとおれは頭にくるんですよ。アル中のことがわかるときってのは、ほかの中毒(アデイクト)のすべてがわかるときですよ。薬物中毒はもちろんのこと、ワーカホリックまで含めて、人間の "依存" ってことの本質がわからないと、アル中はわからない。わかるのは付随的なことばかりでしょう。 "依存" ってのはね、つまりは人間そのもののことでもあるんだ。何かに依存していない人間がいるとしたら、それは死者だけですよ。いや、幽霊が出るとこを見たら、死者だって何かに依存しているのかもしれない。この世にあるものはすべて人間の依存の対象でしょう。アルコールに依存している人間なんてかわいいもんだ。血と金と権力の中毒になった人間が、国家に依存して人殺しをやってるじゃないですか。連中も依存症なんですよ。たちのわるいね。依存のことを考えるのなら、根っこは "人間がこの世に生まれてくる" 、そのことにまでかかっているんだ。心理学者だけの手におえるようなもんじゃなでしょう」」
さて、この患者さんは「アル中世界」から抜け出られたのでしょうか?
それは読んでのお楽しみということで。
『今夜、すべてのバーで』 中島らも(1952- ) 講談社文庫1994
KさんのHanadokei web site、中島らも関連のページをお薦めします。
人妻でありながらHP上で「中島らもが好き」と公言してはばからないKさんだけあって、「濃い」ページになっております。
「赤河」先生のモデルがどなたかもわかります。
URL: http://www.asahi-net.or.jp/~NN9M-KMR/nakajima.html
私の個人ページの「ブックリストリンク」に参加いただいたご縁で、「ポルケ」も送らせて(無理やりという話も・・・)いただいてます。
らもファンの方々、是非!
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* [今夜、すべてのバーで] 中島らも
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