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19971027 小泉今日子 『パンダのan an』

小泉今日子 『パンダのan an』
 「ポルケ・ブック・レビュー http://www.booxbox.com/porque/」 より

 10月24日、『パンダのan an』(小泉今日子 マガジンハウス)を読みました。

   * [パンダのan an] 小泉今日子

 今年上半期のベストセラー群中の一冊です。
 雑誌「anan」(1994/12/09~1997/02/14)に連載されていたポラ写真付きのエッセイを一冊にまとめたもの。
 念のために書いておきますと、小泉今日子さんはいわゆる「芸能界」の方です。この本も書店でどの書棚に置かれるかというと、おそらくはいわゆる「タレント本」コーナーでしょう。
 がいまや北野武監督を単なる「お笑い芸人」と考える人がいないように、小泉さんも「アイドルタレント」の枠を越えています。

 どんな世界でもそうでしょうが、一流であり続けることは大変なことのはずです。
 デビューして二十年近くなる小泉さんが、なぜ一線に生き残っているのか。
 『パンダのan an』を読むとその理由が少しわかるような気がします。

 この人って普通の人なんだと思わせる気安さと、この人ってスゴイと思わせる気高さを、合わせ持った人なんですね。
 その上に、自己省察がよくできている。アイドル時代は中森明菜というビックネームのかげで二番手の位置に甘んじていたかと思うのですが、その間を無為に過ごしてはいなかったようです。

 すぐれた才能は、その人自身をジャンル化してしまうのでしょう。
 「小泉今日子」というジャンル。だれにも追随できない。
 今現在、他に頭に浮かぶのは「野村克也」というジャンルでしょうか。この人も「長島茂雄」というジャンルをここに来て凌駕しつつありますね。

 例によって引用を。
 「ウスノロマヌケ」という文章から。

「(前略)
 子供の頃は、お正月や法事、それから夏休みの親族大旅行など、みんなが集まる機会はたくさんあった。そんな時、お父さん達はお酒、お母さん達はおしゃべり、私達はゲームやトランプをして楽しんだ。たかがゲームなのだけど、今思えば、私はゲームをしながら、自分でも気付かぬうちに、大切な事をたくさん学んだのではないかと思う。人生ゲームや億万長者ゲームでは、お金の数え方や、使い方、大人の社会の仕組みの様なものを漠然とだけど感じたし、婆抜き、七並べ、神経衰弱(漢字で書くとどれも変なネーミングだよね)等、トランプでは、直感力や、自分が勝つための知恵(ずるさとも言う)を養ったのではないかと思う。
 そんな中で、現在の私の職業には、なくてはならない大切な一つの要素(それは、お調子者ということ)を培ってのは「ウスノロマヌケ」というトランプのゲーム。ゲーム自体はシンプルでとっても簡単な内容だったので、私の才能を大きく開花させる事にさほど影響はなかったが、このゲームを囲む私の姉妹及びいとこ達は、多大なる貢献をしてくれた。彼らは私がトイレに行っている間に、私にいいカードが巡ってこない様に細工を凝らし、カードをすり替えたり、私だけ知らないサインを送り合い、何とか私が勝たないように仕向け、焦る私の反応を楽しんだ。私はよく悔しくて泣き出した。が、もともと、外では内気、家ではお調子者だった私は、おだてられるとすぐに機嫌を直し、最後の罰ゲームではマッチ棒を鼻に突っ込み、間抜けに安来節なんかを踊ったりした。
 こうして私は、今の自分に必要不可欠な要素、お調子者の道を極めたのである。」


 『パンダのanan』 小泉今日子 マガジンハウス 1997/03/13

 「ポルケ」バックナンバーから。

「1996/11/26 No. 00071 SUB: うだ話「ファンの人」

 『ザ・ベストテン』(古い!)で、「ミヒャエル・エンデの『モモ』が好き」と発言するのを見て以来、私は小泉今日子さんのファンです。(「ファンタージェン」というヴィデオ作品は傑作。)
 そのキョンキョンが、「私は『ライ麦畑でつかまえて』が好き」発言をした直後、本屋でその本がどっと売れた、という話を聞きました。おそるべし。
 後日談。とある雑誌で「あれは、嘘。読んでなかったけど、言ってみただけ」と書いてあるのを発見しました。
 ああ、キョンキョンらしい、とこんなときだけ他人に寛容な私は、やはりミーハーな人間なのでしょう。」

 『モモ 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語』 ミヒャエル・エンデ(1929-1995) 大島かおり訳 岩波書店1976
 『ライ麦畑でつかまえて』 J.D. サリンジャー


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