19980817 内田春菊・山村基毅 『クマグスのミナカテラ』/
内田春菊・山村基毅 『クマグスのミナカテラ』
「ポルケ・ブック・レビュー http://www.booxbox.com/porque/」より
8月6日、『クマグスのミナカテラ』(内田春菊
・画 山村基毅
・原作 新潮文庫)を読みました。
カバーには。
「明治十七年、南方熊楠、山田美妙
、尾崎紅葉
、正岡子規
らは大学予備門で、大井憲太郎
、北村門太郎(後の透谷)
らは非合法結社の中で、新時代の文学、学問、政治を目指して、屈託なくまっしぐらに進むかに見えたのだが・・・。若者達の希望と挫折を明るくユーモラスに描いた長編漫画。未完ながら彼らへの暖かいオマージュに満ちた力作である。単行本未収録原稿(画)百二十枚追加収録。」
南方熊楠を描いた漫画としては、水木しげる
カバーの書いてあるように、未完。
熊楠さんの大学予備門から北米時代サーカス小屋時代までが描かれているのですが、そこまでで五百五十枚余。
熊楠の死までを描いた『猫楠』が四百ページほどであることを思えば、内田版『南方熊楠の生涯』が、そのまま書き続けられたなら、膨大な量になったことは確かでしょう。
「文庫あとがき」には、漫画家をやめてしまった杉浦日向子
「で、そんなある日。
「熊楠、いいですねえ」
と日向ちゃんに声を掛けてもらったのだ、あるパーティーで。嬉しくなって思わず、
「実は日向ちゃんの原作で漫画描かしてもらいたいと勝手に思ってて。でも原作付きも歴史物もやったことないから練習してんの」
と言ったら、日向ちゃんはものすごくびっくりしてた。
さて。そんなわけなのでもちろんこの名前をミナカタクマグスと読むことさえ知りませんでした。明治時代のことも関川夏央さんの漱石ものでしか知らない。(後略)」
ついでになぜ未完かは。 。
「で、まあ、ほんとにいろいろありました(遠い目)。なんでこの話が途中で終わっているかをどうしても知りたい人は、エッセイ集「やられ女の言い分」(文藝春秋刊)を読んで下さい(しかしいるのかそんな人)。」
いや読んでみたい。立ち読みしよう。
どうも編集者との確執が原因のようですが。
内田さんの漫画は、例によって「余白」が多いです。
『『坊ちゃん』の時代』の谷口ジローさんの、おそらくは相当の時間をかけて考証されたであろう、緻密な筆致の背景。
荒俣宏さんに「ファインアート」であるといわれた、水木しげるさんの、精霊がひそんでいそうな背景。
それらと比較すると、内田さんの「南方熊楠の時代」背景は、あっけらかんとしたももです。
これは一連の濃密な性的漫画を描いていたころ(今も描いているのか?)から一貫したもののようで、内田漫画に清涼感を感じる主要因になっているように思います。
「劇画」という言葉が今でも使われているのかどうか私は知りませんが、『『坊ちゃん』の時代』、『猫楠』、『クマグスのミナカテラ』と並べれば、劇画から漫画へのグラデーションが楽しめるのではないでしょうか。
『クマグスのミナカテラ』 内田春菊・画 山村基毅・原作 新潮文庫 1998/03/01 ISBN4-10-145213-X
『猫楠 南方熊楠の生涯』 水木しげる 角川文庫ソフィア 1996/10/25 ISBN4-04-192907-5
19971126 水木しげる 『猫楠 南方熊楠の生涯』
『『坊ちゃん』の時代』 関川夏央・谷口ジロー 双葉社 1987/07/09 ISBN4-575-93059-8
19980714 関川夏央・谷口ジロー 『『坊ちゃん』の時代』
午後。
ポルケ『クマグスのミナカテラ』
民族学博物館より、CDタルバガンの追加発注。
今までの在庫は「大モンゴル展」の成果か、売切ったらしい!
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