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19981013 と学会 『トンデモ本の世界』/スズムシを300組無料で

と学会 『トンデモ本の世界』
 「ポルケ・ブック・レビュー http://www.booxbox.com/porque/」より

 前回同様、「何をいまさら本」であります。
 1995年5月の発行以来、「トンデモ本」のブームを巻き起こし、シリーズ化された感すらある「トンデモ本」系の第一冊目。

 カバーには。
 「と学会とは・・・ 「と学会」の「と」は「トンデモない」の「と」の字
  太陽は冷たいだの、中国人は異星人だの大マジメで書いている
  トンデモない本の数々をベストセラーや古本屋の百円均一コー
  ナーから見つけ出して笑い飛ばす集団である。
  沈着冷静なSF作家の山本弘を会長に、超常現象、科学、歴史の
  エキスパートたちを結集した「と学会」の学会の精鋭たち。
  トンデモ本撃退の準備はできた!」

 ときに大笑い、ときに不気味に、ときに憤慨、一気に読み終えました。


 「怪しい科学の魔の手 超科学・疑似科学本」の章で、一番最初に紹介されているのが、窪田登司アインシュタインの相対性理論は間違っていた』(徳間書店1993)です。
 「この本はもともとNHK出版の雑誌『エレクトロニクスライフ』に掲載されたもので、著者がオーディオ関係ライターとして名の知れた人物だったこともあってか、彼の書くことを信じこんでしまった人は多いようである。」(山本弘さんの文章から。46P)。

 私もリアルタイムでその『エレクトロニクスライフ』の記事読みました。
 「しかし、窪田氏の本がまったく無価値というわけではない。見方を変えれば、物理を学ぶ学生に相対性理論の理解を試させるための問題集としてうってつけ、という声もあるのだ。つまりこの本を読んで、著者がどのようなカン違いをしているかをすべて指摘できれば、あなたの相対性理論に対する理解は完璧、というわけだ。
 というわけで、物理を学ぶ学生さん、この本を買って、正しい相対性理論を勉強してください。」
(同上。47P)。

 私はもちろん、どこがどうカン違いしているか指摘できませんでした。
 でも、窪田さんの説を信じることもありませんでした。
 それは、私の批評精神が冴えているからではまったくなく、単に「窪田」と「アインシュタイン」では、どちらが信ずるに足るブランドか、という処世知によるもので、「なんだかわかんないけどアインシュタインの方が偉いんじゃないの・・・」程度の判断です。
 アブナかった・・・。(過去形じゃないかも!)

 「窪田氏の主張によれば、相対性理論の基礎になった有名なマイケルソン=モーレーの実験は、球面状に広がる普通の光を使ったために生じた間違いで、直進するレーザー光線を使って測定すれば、自分の説の正しさが証明できるという。
 これもガードナーが『奇妙な論理』で指摘していることだが、こうした「反相対性理論本」の著者に共通している誤解は、マイケルソン=モーレーの実験が一九世紀に行われたまま、一度も繰り返されていないと思いこんでいることである(ドクター中松にも同様の誤解がある)。実際にはマイケルソン=モーレーの実験は世界中で何千回も検証され、レーザーが発明されてからは、レーザーを利用したより精密な実験も行われていて、その正しさは揺るぎないのである。窪田説は最初から破綻しているのだ。」
(同上。45P)

 著者の藤村由加さんたち(四人の名前を合成したペンネームなのです)を知らないわけでもない、『人麻呂の暗号』も「トンデモ本」として取り上げられていました。

 「はじめに」には。

 「恐ろしいことに、トンデモ本の中にはしばしばベストセラーになるものもある。(中略)万葉集を朝鮮語で読むという言語道断な本が何冊もベストセラーになったのは記憶に新しい。」(山本弘さんの文章から。3P)

 「偽史・超古代史本」には。
 「一九八九年には、万葉集が古代朝鮮語で読めると主張した藤村由加『人麻呂の暗号』(新潮社)や、李寧熙『もうひとつの万葉集』(文芸春秋)といった本が出た。要するに安田徳太郎がレプチャ語でやったことを朝鮮語でやってみせただけのことだが、これもどういうわけかベストセラーになってしまった。時代は変わっても、人間のやることはまったく変わらないのである。」(同上。159P)

 その註として。
 「藤村由加や李寧熙の著書については、安本美典新・朝鮮語で万葉集は解読できない』(JICC・一九九一)および西端幸雄古代朝鮮語で日本の古典は読めるか』(大和書房・一九九一)という反論の書が出ているので、参照されたい。」(同上。161P)

 私も『人麻呂の暗号』を読みましたが、「万葉集が古代朝鮮語で読めると主張し」ている本とは思えませんでした。
 大和言葉では意味のとれない枕言葉の類を、隣国との文化交流の経験から始めて、再読してみようという試みが、『人麻呂の暗号』という形で結実したものと思えるのですが・・・。ときどき「無茶」はしますが。
 『人麻呂の暗号』について書かれた二つの文章を紹介します。

 赤瀬川原平さんの新潮文庫版『人麻呂の暗号』解説文。

 「はじめは童謡とか子守歌だったと思う。ネンネンコロリヨ、とか、ツバメツバメ、とか、こういったわらべ歌には不思議な歌詞が多い。メロディーは小さいときから馴染んでいるので何の不思議もないのだけど、ふと歌詞を考えてみるとどうもつじつまが合わない。いったい何故こんな文句がわらべ歌に使われているのか、とか、説明のつきにくいものがたくさんある。
 その音を韓国語で引いてみると、ちゃんと整った意味が出てくるのだ。日本語の意味では言語の組み合わせが何か異様で。シュールレアリズムみたいな歌詞だったのが、韓国語読みにしてみるとちゃんと納得する意味が出てくる。その二つを比べてみると、むしろ韓国語読みの方が自然なものが多い。
 これは何だ、ということになったのである。ふだん使っている日本語の下に、韓国語が埋っている。わらべ歌だけでなくても、お腹がペコペコとか、背高ノッポとか、一二の三の代りのセーノとか、日本語をちょっと掘ると韓国語が出てくる。イタリアの街の地面みたいだ。ふだん住んでいる街の地面をちょっと掘ると、すぐに遺跡が出てくる。」
新潮文庫版『人麻呂の暗号』 346P

 池澤夏樹読書癖1』「人麻呂はバイリンギュアル」(141P)から。
 「見るべきは彼女たちの方法であり、それを支える言語観である。朝鮮語と漢字の知識をどんどん使って、多言語的な解釈を次から次へと出し、言葉と文字を重層的に読み取る。今までの表面的な意味の奥にいくつもの深い意味を見つける。これが知的スリルに満ちている。人麻呂の旅の歌と思われていたものが恨みを含んだ遺言となる。牽強付会という意見も聞くが、一貫した方法でこれだけ出てくるとなかなか説得力がある。
 普通の人は自国語は自在に使うくせに、外国語はむずかしいと言う。自国語が二つあるような環境にいる者にとっては両方使うのはなんでもない。古代の詩人たちがそういう出自の者であったと仮定したところがこの研究のお手柄。古代の日本と朝鮮半島や中国の間には頻繁な往き来があった。漢字と朝鮮語と日本語をすべて身につけた渡来人やその弟子が詩を作るとなれば、それを全部応用するのは当然だろう。詩とは、文字の字義と形と読んだ音と広い連想のかぎりを使ってたくさんの意味を入れるべき箱である。人麻呂が大陸文化に精通していたとしたら、漢字の意味や朝鮮語の意味も歌には入ってくる。場合によっては意味の一部を文字の中に隠してしまうことも可能だ。
 この本の解釈がそのまま正解とは決まらないが、アマチュアが象牙の塔に投げた石が相当痛いところに当たった感じだ。今まで、古代日本の古代作品を読むのに、朝鮮語との関わりや漢字の字源を正面から扱った研究がなかったのはなぜか。日本の地名の研究にアイヌ語は無視できないし、ラテン語なしでチョーサーは読めない。国文学者がみな鎖国主義に徹して日本語一つを後生大事に抱えてきたとしたら、その方が問題。考古学では日本古代文化の独自性が揺すぶられている。同じ現象が万葉集に波及したのがオモシロイ。」

 『トンデモ本の世界 MONDO TONDEMO』 と学会 洋泉社 1995/05/01 ISBN4-89691-166-0




 朝、ポルケHP更新。

 いつも利用している野幌郵便局が開局何周年とかで、謝恩週間に入っていて、今日はスズムシを300組無料で配布するのだという。
 午後三時から局にて配布ということで、車で出かけるも、遠景に母と幼い子供が何十組も群がっているのを見て、敬遠。
 その足で図書館へ。

 夕、小樽銭函の義理の妹から電話。
 父が、放射線治療が必要になり、11月いっぱい入院が必要になったとのこと。
 半ば覚悟していたとはいえ、完治というのは、やはり難しいことらしい。

 夜、札幌市南8西14でアフリカの太鼓「ジンベ」の演奏会を聞きに。
 いいだともきさん、山北さん、かじわらさん。
 思わず体が動いてしまう。

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