19990812 日本人の末裔
午後、北海道ローカルTVで、映画「それはビートルズから始まった!60年代サウンド大特集」(1974年アメリカ)ケビン・ビリントン監督ジョン・リッターほか、というのを見る。司会にスザンヌ・サマーズ(この人は「アメリカン・グラフィティ」のリチャード・ドレイファスが追い求める女性の役をやった人らしい)、イギリス編にツィギー。
70s・80s・90s、さて、音楽的に回顧されることのない年代はいつでしょう?
日が暮れてから、馬頭琴の注文をいただいていたSJさんに近所のスーパーの駐車場でお会いし、「とねっこ」号を渡す。SJさんはわざわざ札幌市八軒から車で来て下さった(ベンツ!)。
薄暮にブツを渡し、引き替えに受け取った札束を勘定。ほとんど闇屋状態と、二人で笑う。
NHKの「バイキングロード」という番組、面白かった。
体力・航海術に優れ、自由と独立を愛する、北欧のバイキングたちの、ヨーロッパ各地への移住を主題に取材した番組。
前半は、デンマークから南を目指したバイキングの話。
まずフランス・ノルマンディ。
イギリス海峡から、今のノルマンディ地方に上陸、その勇猛果敢さでそのままセーヌ河からパリに攻め入り(885年)、ノルマン(北方の人の意)公国をフランク王国に認めさせてしまう。故国からリンゴを持ち込んだノルマン人の子孫が、いまなお自主独立し、伝統的なリンゴの酒を作っている風景。
ついで、ジブラルタル海峡。
ここでは、当時科学の進んでいたアラブ人たちと海上の覇権を争い敗北。火器兵器を使われたらしい。しかしその航海・造船技術は、大航海時代スペインの人々に影響を与えずにはいなかった。
ついで、シチリア島。地中海に入ってきたバイキングたちは、1130年両シチリア王国をうちたてる。イタリア半島の南部とシチリア島を治めたバイキングたちは、異教徒や異民族に寛容で、アルバニア人の居住村ができたのだそう。時代は下り、その村がこのたびのコソボ難民を受け入れて、番組中ではそのときの模様が紹介された。人間の営みは面白い。
最後は、イスタンブール。
コンスタンティノーブル時代の教会に残された、バイキングの末裔の落書き。
後半は、ノルウェーから北・西を目指したバイキングの話。
まずはデンマーク領フェロー諸島。
台所仕事をしていてあまり見られなかった。自然が厳しくとも、例の「自由と独立」の精神のもと生きる人たち。
ついで、アイスランド。
アイスランド神話サーガ(saga)の話題から。
人口二十七万、面積は北海道の約1.3倍の国家。なんと国民一人あたりのGNPはドイツ・フランスと同水準。(このへん地図のデータ)。世界有数の海産国。
ノルマン人が巨大な無人島アイスランドを発見したのは860年。年に一度アルシングという、全国民(全島民)をあげての議会が、いまも開催されるのだという。例によって「自由と独立」だから、支配者はおかないわけ。住民のルールとロールが決まっている。ツールもある(このへん「コミュニティ・ソリューション ボランタリーな問題解決にむけて」金子郁容にかぶれた物言い)。
次は、もっとも感銘を受けたイギリス・マン島の話。
人口七万、広さは淡路島ほど。もともとケルト民族の住む島に、バイキングが侵入。民族融和が進み、マン人(Manx)が生まれた。国籍はイギリス人ということになるが、マン島人は外交・軍事以外の自治を完全に確保。こちらにもティンウォルドと呼ばれる、全島あげての議会が年一回行われ、そこでその一年間の法律が発表(英語とマン語で)される。TTレースで有名なこの島には「国歌」がある。「自主・独立」の共和制を住民のコンセンサスで持つ「地方自治体」。
最後に、アイスランド・サーガの一部を紹介しておしまい。さらに新天地をもとめたバイキングが西へ西へと航海し、たどりついた大きな島がある。そう、アメリカ大陸。それはコロンブスが新大陸を発見する500年近く前のこと。
「自由と独立」。自身の「自由と独立」を認めてほしいと願う人間は、他人の「自由と独立」も尊重する。共和制になじみやすい人種。
「束縛と従属」。ビロンガー。みずから地方他治体となりたがる地方自治体。
番組を通して感じられたのは、バイキングの末裔たちの強烈な自負と誇り。
人口にも資源にも土地にも恵まれていながら、経済的にも政治的にも文化的にも「束縛と従属」を自らに科す人間。何人の末裔なのか?
日本人だよね。
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