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19990817 柏木博 『日用品の文化誌』 / タルバガンは千匹に一匹

柏木博 『日用品の文化誌』   「ポルケ・ブック・レビュー http://www.booxbox.com/porque/」 より

1 本と作者のデータ】
  「今や生活に浸透した様々な<もの>やメディアは、どのように生み出され、受け入れられていったのか。紙コップ、電灯、スーツ、ラジオ・・・登場したときのエピソードや、意外な展開を紹介しながら、産業や社会への影響にとどまらず、人々の感覚や思考の変容をもたらした、多くの「日用品」をたどって、二十世紀の文化様式をとらえ直す」(カバー)
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 柏木 博(かしわぎ・ひろし)
 「1946年 神戸市に生まれる。
  1970年 武蔵野美術大学卒業。東京造形大学教授を経て
  現在  武蔵野美術大学教授。デザイン評論家。
  著書  『芸術の複製技術時代』(岩波書店)
      『ユートピアの夢』(未来社)
      『20世紀をつくった日用品』(晶文社)
      『デザインの20世紀』(NHKブックス)
      『家事の政治学』(青土社)ほか多数」


【2 私の身に何が?】
■ 三部構成の三番目「受信と発信」が印象的

 身近な日用品が、「住居と食事」「身体と世界」「受信と発信」の三パーツにわけて紹介されています。
 「住居と食事」には、「現代住宅・洗濯機と洗剤・紙製品・加工食品、魔法瓶、電子レンジ・電灯・オフィス家具」、が登場。

 同様に、「身体と世界」には、「ミシン・スーツ・寒暖計・X線・内燃機関」が、「受信と発信」には、無線・携帯ラジオ・ゼムクリップ、鉛筆・カタログ・エレクトリックギター・幻燈・写真装置」、が登場。

 日常、どこにいる時間が一番長いかといったら、ネットワークにつながったコンピュータの前、という生活をしている田原ですから、当然「受信と発信」をもっとも興味深く読みました。

■ なぜ「ゼム・クリップ、鉛筆」が「受信と発信」なのか
 「受信と発信」とくれば、ついつい電気的なものを想像しがちですがそこであえて、「ゼム・クリップ、鉛筆」を取り上げたのは著者の見識でしょう。(「整理と編集の発想」と題されたその文章は、【4 引用いいとこどり】をご覧下さい。
「Made in USA Catalog」を本棚から引っぱり出してしまった
 「カタログ」は「情報を知るための情報」という文章に。
 「アメリカを知る百科全書」シアーズ・カタログという「あらゆる人々が市場になる消費社会のための道具」の紹介に始まり、六十年代末のカウンターカルチャー的ライフスタイルのための「ホール・アース・カタログ」登場まで。

 別冊宝島の第一冊目「全都市カタログ」(もちろん「ホール・アース・カタログ」の影響ありあり)を70年代に熟読し、「Made in USA Catalog」(読売新聞社)などという大メディアのサブカルチャー悪ノリ系雑誌を今だに持っている田原には、楽しく読めました。

■ 立ち読みのススメ
 立ち読みするなら、この「カタログ」@「情報を知るための情報」とその次の「エレクトリックギター」@「二〇世紀を動かした楽器」。
 特に後者は、著者の音楽の趣味が如実に出てて、笑えます。

【3 引用いいとこどり】
■ 「ゼム・クリップ、鉛筆」@「整理と編集の発想」- - - - - - -

「鉛筆は情報の記録や情報交換のための道具であり、記憶や思考の持続に深く関わっている。それに対して、クリップは、情報を操作することを助ける道具だと言えるだろう。クリップという言葉は、書類を留めるという意味の他に、新聞などの記事を切り抜くとか、雑誌から写真を切り抜く、あるいは短縮するといった意味がある。したがって、もともと情報を加工することに関わるような意味を持っている。実際、クリップ(ペーパー・クリップ)は、記録された情報を、そのときどきの目的にしたがって、選択し、仮に束ねておくための道具で、いわば情報の切り取り(カット・アップ)と集約といった作業に関わっている。カットとペースト・アップの作業に関わっていると言い換えてもいい。また、クリップは、本のページに付箋のような、つまりブックマーク(あるいはブックマーカー)の役割も果たす。
 (中略)つまり、こうした作業は、いわば情報の編集作業である、同じ情報をどう編集するかによって、わたしたちが対象とする情報環境はまったく異なった相貌をもって現われてくる。この編集という作業は、わたしたちの思考のあり方、対象を捕える方法に関与している。(中略)こうした、わたしたちの思考のあり方の基本にあるものを、あの小さなクリップは助ける重要な道具として使われてきたと言えるだろう。」
(157P)

■ 「カタログ」@「情報を知るための情報」    - - - - - - -
「重要なことは、世界とそれを情報化(道具化)したものとの反転を意図的に試みたことである。つまり、カタログは、世界を知る道具である。それは、現実世界(マクロコスモス)を圧縮したミクロコスモスである。そのミクロコスモスを編集しなおす(解釈しなおす)ことによって、マクロコスモスとしての現実世界を変化させる可能性があるということだ。カタログは、かつての百科全書と同様に、そうした可能性を持った道具になりうるのである。」(175P)

■ 「口琴」@「二〇世紀を動かした楽器」    - - - - - - -
「時代、文化と支配的楽器
 振り返ってみれば、文化はつねに政治的な力あるいは権力として機能してきた面がある。これは美術や文学だけではなく、音楽もまた例外ではない。時代における支配的な音は、支配的な文化と深く関わっている。したがって、ものというレベルで見るなら、支配的な楽器とそうではない楽器とに分かれる傾向があるように思える。
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 たとえば、今日、少数民族の使う楽器にはおおよそ弱音楽器が多い。たとえば、口琴や一弦琴といった楽器である。口琴はさまざまな形状のものがあるが、基本的な構造としては、弁を口の中に入れて指で弾く楽器で、頭蓋をいわば共鳴器にして音を響かせるものである。素材は金属のものもあれば、木を使ったものなどもある。口琴はもちろん日本にも存在する。また、ロシアや中国など世界のさまざまな地域に見られる。少数民族の間では口琴は現在も演奏されている。弱音楽器なので、演奏すると言っても、演奏者本人をふくめて、ごく近辺にいる人にしか聞くことができないほどに微弱な音である。したがって、ほんの数人、時には愛する人ひとりだけに聞かせるためにのみ演奏されることになる。」
(176P)

■ 口琴のか弱さと対照させるかのように、パワー・マス・商業主義的 楽器として「エレクトリックギター」が紹介されるわけです。

柏木 博(かしわぎ・ひろし1946 ) 岩波新書1999/06/21---ISBN4-00-430619-1





 朝日新聞のWEBによれば、
 忌野さんのパンク「君が代」発売中止

 歌手の忌野清志郎さん(48)が10月14日に発売を予定していたアルバムCDが、パンクロック版「君が代」を収録しているという理由で、急きょ発売中止になった。決断を下したポリドールは「政治的、社会的に見解の分かれている重要事項に関して一方の立場に立つかのような印象を与えるおそれもあるため、発売を差し控えるのが適当と判断した」と説明している。

 このアルバムは忌野さんが率いる「リトル・スクリーミング・レビュー」の「冬の十字架」。「君が代」は全7曲の2曲目に録音されていた。歌詞やメロディーは原曲を生かしながら、パンクロックに編曲されているという。

 忌野さんらはレコーディングを始めていたが、国会での国旗・国歌法案審議が大詰めを迎えたころ、ポリドール側から「君が代」を外すよう求められた。

 忌野さんは、RCサクセション時代の1988年にも反原発ソング「ラヴ・ミー・テンダー」を、当時の所属レコード会社から発売中止にされたことがある。
  (12:08)
 メジャーだけどやる気のないパブリッシャー・・・。
 キヨシローさん、BooxBox からどうぞ。

 江別市情報図書館。 借りた本:

●「溺レる」川上弘美(文芸春秋 1999/08/10)ISBN4-16-318580-1
●「裏日本-近代日本を問いなおす-」古厩忠夫(岩波新書・新赤版522 1997/09/22)ISBN4-00-430522-5
●「むくどりは千羽に一羽・・・」池澤夏樹(朝日新聞社 1996/05/01)ISBN4-02-256960-3
●「西ヨーロッパ世界の形成 世界の歴史10」佐藤彰一/池上俊一(中央公論社 1997/05/10)ISBN4-12-403410-5

 で、「むくどりは千羽に一羽・・・」をすぐさま読み終える。

 南幌町INさんが投稿してくれた雑誌「BE-PAL」での「タルバガン」記事を見たという人からCDの注文あり。謝々。
 もっとちゃんと営業活動しなさい、ということか・・・。

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