19990822 私なりの幸せ@佐渡
佐渡での目覚め、二日目。
午前十一時からタルバガンの二人が、「ハーバー」で一時間弱のライブ。
一昨日の嵯峨治彦氏の「ハーバー」でのパフォーマンスや昨日の「ホーメイワークショップ」での等々力政彦氏の活躍が人を呼んだのだろうか、結果的にお昼の公演の観客動員数を塗り替えた、と後で聞く。
タルバガンを佐渡で初めて知ったという人も多数いるようでMCもうけ、演奏者も気持ちよさそう。
フーンフールトゥ・タルバガン・それらの混成バンドと、十回近く「エキアッタル」を聞いた人もいるのでは?
「野遠見(のどおみ)」 タルバガン BWM-B501 Audio CD 2500円 (tax in)
上の娘、発熱。
ひどい高熱で、心配。本人は、気も確かで、食欲もある。どうなっているのか。
夕刻はまた城山で「鼓童・フーンフールトゥ」野外コンサート。
ティンクナの岡田浩安さん吉田ユウ子さん(来るときの船がいっしょだった)とタルバガンズ、下の娘(一歳で、鼓童とフーンフールトゥ!)と見る。上の娘はさすがに外出できないし、妻がつきそい。
さらに、コラボレーションの質が高まっている。
今日の大太鼓は藤本英利さん。
三日連続の演奏となった「アイシュデケヨ」では、会場のあちこちから歌声が。
大盛り上がり大会の末、終演。
客席脇を歩いて退場する、フーンフールトゥと鼓童のメンバーに握手の手が伸びる。
昨夜に続き、充実感とともに、民宿に帰る。妻子とコンビニ食した後、「ハーバー」へ。
「チャンプルー」と称された、出演者が数珠つなぎで総出のステージ。
金子竜太郎さんを交えての、インプロ版「アラシュ・ヘム」。フーメイが等々力、モリン・ホールが嵯峨。
ついで二人のパフォーマンス。お客さんも皆好意的で、このまず地上に一つしかないであろうユニットの演奏を聞いてくれている。
何曲か演奏を終えたところで、演奏者出入り口からあらわれました。フーンフールトゥのメンバー。カイガルオールは「NODO~Tシャツ」を着ている! そでで見ていた私と目礼を交し、私のすぐ前に場所を占めた。
お師匠さんたちの到着を知らぬまま、演奏を続ける若いタルバガン。私の目の前のカイガルオールとアナトリーは、なんとも嬉しそうな顔で、タルバガンの演奏を見つめている。「のどうたの会」TTさんに、フーンフールトゥのメンバーの存在を知らせ、ステージの二人にもその旨告げてもらう。
二人の姿を認めた等々力氏の「むちゃ緊張するわあ」という言葉に、場内大受け。
そして演奏されたのが、「ウタリ・オプン・パレワ/ホムズム」。アイヌの曲とトゥバの口琴の歌の合体というだけでも、相当「変」なのに、嵯峨氏の「変」なドシュプルール(ギター演奏経験者ならまずこういう弾き方はしないだろう)に、あまりに可愛すぎて笑ってしまう日本語歌詞がミックスされ、まずもって珍無類な楽曲。第二作CDの最後を飾る曲でもある。
カイガルオールもアナトリーも、ほとんど笑いながら聞いている(このすぐ後、演奏休演中の「ハーバー」前の路上で、「ホムズム」の歌詞のより正しい発音を一心に等々力氏に教える二人を間近に見ることになる。教わるほうも「マジ」でトゥバ民謡を愛していれば、教えるほうも「マジ」でこの異国の青年を愛しているのだ)。
上の娘のこともあり、まだまだセッションの続くタルバガンズをおいて、民宿へ帰る。
私はといえば、私なりに幸せだった。
それはもちろん演奏者としての喜びでも観客としての楽しみでもない。
自分の「ヴィジョン」がそれほど間違ったものではなかったことがわかった、というような内向的な喜び。
誰もが「デイドリーム」を見る。ある人は、そのアホ臭さにその「デイドリーム」を見ることを止める。ある人は、「デイドリームビリーバー」として、その夢を現実の形にすることのないまま、一生を終える。
自分が何者なのか、今だに私にはわからない。
一つだけ言えることは、自分があの場所にいても間違っていない人間だった、ということ。
夢が現実になる場所・時間に、私は立っていたし、それは自分が自分で選択したものでもあった。
そして、私はそういうことに、一番の幸せを感じる人間なんだろうさ。
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