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19991109 澗(ま)・入り江

 澗(ま)。広辞苑によれば「湾または海岸の船着場・船曳揚場。北陸地方などでいう語」。
 午後、田原家の澗に下りる。
 福井県の出だから「北陸地方などでいう」言葉がここに生きていてなんの不思議もない。その先祖たちがここの澗を使いはじめたのはいつのことなのだろう。
 二十世紀の大半を、田原家は漁師の家として過ごした。一族何十人かが、ここで仕事をし、手伝い、遊び場として遊び、やがて、この地を離れ、ときどき帰ってきた。
 一九九九年夏、父は昆布漁をし、この澗を使った。家族は昆布干しをした。
 そしてそれが田原家にとっての最後の漁仕事になるらしい。
 自然の偉大さを思う。何千年か前も、眼前の岩場の風景はいまとそう変わらなかったろう。人間が長年仕事場として整え、使い込みした澗も、何千年か後には、人間の痕跡など残さない場所になっているだろう。
 そう思うと、よけいに、このちっぽけな人間の所業が、いとおしいものに思えてくる。
 われわれはどこから来てどこに行こうとしているのだろうか?

 ベルリンの壁崩壊から十年。
 ぼくは十年前京都であの1989年を過ごしていた。
 あの年を境に、自分自身の考え方も大きく変わった気がしてならない。

 十年来の問いかけが続いていることを、改めて知る。

 われわれはどこから来てどこに行こうとしているのだろうか?


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