20040118 未読書感想文「本人の人々」「村上春樹全作品1990-2000 1」「三つの都の物語」「かくれ里」
『本人の人々』 南伸坊
(マガジンハウス 2003/11)
南伸坊さんといえばあの顔だ。昔の「ガロ」にはよく南伸坊さんが作中人物として登場した。たいていデフォルメされていて、それは底辺が下の安定した三角形の顔の形で、こんな顔の人がこの世にいるものかと思ってみていたのだけれど、実写の南さんを見てびっくり。本当に本物の三角形だったから。
その顔の形で、「本人」になりすまし、なりきって一文を書ききるという、すごい本。当然本を開くと、左ページに南さんがなりすました「本人」の写真、右ページには南さんがなりすました「本人」の文章。
登場する本人は、雑誌(「ダ・カーポ」)掲載の古い順からいくと、森喜朗・叶美香
・中村江里子
・田中康夫
・アラファト
・加藤紘一
・(中略)・瀬戸内寂聴
・田岡俊次
・日野原重明
・清原和博
・村上龍
・キアヌ・リーブス
。最近の「なり下ろし」として、安藤忠雄
・鳥越俊太郎
・椎名誠
・養老孟司
・カルロス・ゴーン
・金正日
。
矢沢永吉さん、そっくり。まあ、矢沢さん自体が、ヤザワになりすましている、ということなのかもしれない。
『村上春樹全作品1990-2000 1』 (講談社 2002/11)
長いこと村上春樹さんのファンだった。当然「村上春樹全作品1979-1989
」全8巻を持っている。しかし今は「1990-2000」の全作品シリーズが出ていることすら知らなかった程度のファン。
『風の歌を聴け』から四半世紀。大袈裟にいえば同じ時代を生き延びて、作家は書き続け、読者は読み続けたわけで、それはとても幸せなことだ。
とりあえず、「村上春樹全作品1990-2000」全7巻も買い揃えようと思った次第。ファン再開?
『三つの都の物語』 塩野七生
(朝日新聞社 1999/11)
三つの都とは、ヴェネツィア・フィレンツェ・ローマ。それぞれ『海の都の物語』 『わが友マキアヴェッリ
』 『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷
』で描かれた三つの都を、都市そのものを主人公にして描いたという作品のようです。それぞれ単行本になっていた作品を、一冊の本にまとめたもの。お得かも。
ちなみに塩野さんのデビュー作 『ルネサンスの女たち』が書かれたのは1968年。こちらは村上春樹さん以上のキャリア。村上春樹さんを読み始めた時代の自分の目に塩野さんの本が眼に入らなかったのは、おそらく自分が今以上に未熟だったから。
『かくれ里』 白洲正子
(講談社文芸文庫 1991/04)
さらにさらに白洲さん白洲正子(1910-1998・明治43年-平成10年) のデビュー作『お能』が発表されたのは、1943年。60年近く人に見せられる内容の文章を書いていたわけで、こうなるともう、リアルタイムでずーっと読者でいるのは大変だなという気もしてくる。自分自身が未熟かどうかももうどうでも良くて、遅れてやってきた読者として、作家とその作品に近づいていくしかない。
「かくれ里」の刊行は、1971年。なんか名作の誉高いんだけど、いつも図書館で借りてくるんだけど、未読。
松岡正剛さんによるスタイリッシュな文章がこちらにありますので、よかったらどうぞ。
20040219 「ども」読書会:白洲正子「かくれ里」
20040130 白洲正子「かくれ里」
20040125 遊びといえば遊び 仕事といえば仕事
20040118 未読書感想文「本人の人々」「村上春樹全作品1990-2000 1」「三つの都の物語」「かくれ里」
19971119 白洲正子・加藤唐九郎『やきもの談義』
19970805 白洲正子 『両性具有の美』
19970220 白洲正子 『日本のたくみ』
19961019 洲之内徹 『気まぐれ美術館』
午前九時「新日曜美術館」:谷中安規
午前十時、江別市情報図書館。
午後、千歳空港に、四国から帰ってくる娘を迎えに。
南伸坊『本人の人々』、村上春樹『村上春樹全作品1990-20001 短篇集1』、読了。
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