20040903 川平敏文 編注『近世兼好伝集成』 未読書感想文 / のどうたの会事務局訪問
『近世兼好伝集成』 (東洋文庫 719)
川平敏文=編
定価:3150 円(本体:3000 円) 全書判 416頁 2003.09
ISBN4-582-80719-4 C0195 NDC分類番号 914
『徒然草』の現在の読みを準備した近世の兼好像は、でっち上げられた偽文をもとにしていた。兼好伝の生成と変容にたどる、江戸の「古典」発明の文化史。四作品を収録。」
平凡社ホームページ・図書目録より
珍書・怪書・奇書の類かもしれない。
『徒然草』作者・兼好法師の人間像が、その評伝ごとに「好色法師」と「まことしき隠者」というマイナス評価・プラス評価の間に揺れ動いた史実を、実際の江戸期評伝文書を集成する形で読み取れるようにした一冊。
編注者による「解説」文では当然のごとく、『徒然草』原典の内容や『徒然草』作者・兼好法師の正伝(そんなものは作りようもないからこそ「偽書」「偽文」が流布したわけだが)などに関して、ほとんどまったく触れられていない。
日本古典文学系の研究者以外、誰がこの本を手に取り、そして誰が全巻読み通すのだろうか。
あまりにマニアック。
だからこそ、本のありようとして、面白い。
『徒然草』第七十三段冒頭:「世に語り伝ふる事、まことはあいなきにや、多くは皆虚言(そらごと)なり。」。
「世の中に語り伝えられることは、真実のままでは面白くないのであろうか、多くはみないつわりごと・うそである。」という人間洞察は、鋭い。
そんな兼好さんもさすがに、後世自分の生涯をネタに好き放題「遊ばれる」とまでは思っていなかっただろう。
しかし作者・兼好さんがさんざん「おもちゃ」にされても、コンテンツ『徒然草』そのものの価値が揺らぐことはなかった。
間違いなく『徒然草』は長く世に伝わるコンテンツで、兼好さんがそれを書いたというだけ。
ということで、『近世兼好伝集成』、その存在を知ってはいても、読む必要はないだろう、という結論に達する田原だった。
昨日は、のどうたの会事務局へ、嵯峨治彦さんとパートナーのぽん田中さんを、訪ねました。
タルバガンの3rdアルバム企画制作販売についてと、今月21日中森花器店での嵯峨治彦さん出演の「ブックスボックス クス・クス ナイト」についての、打ち合わせ。
とはいうものの、久しぶりにお会いした上、嵯峨さん・ぽんさんとも「内モンゴル・草原に馬頭琴を追う旅」から帰って間もないこともあって、ついつい雑談(とも言えないか)に花が咲き、特に例によって事務仕事の鬼と化しているぽん田中さんには、長居をしてご迷惑をおかけしました。
嵯峨さんが、内モンゴルで「発見」した内モンゴル出身の女性ポップスター=スチンゲレルのVCDを見せてもらったり、ぽん田中さんが取り寄せたという韓国・パンソリの名手「オ・ジョンヘ(呉貞孩)」さんの日本でのライブを見せてもらったり、田原が撮影・編集中の利尻島ビデオのデモ版を見てもらったり。
スチンゲレルさんは、ビデオを見れば見るほど、その実像から離れ焦点がぼけていくようで、ものすごく不思議な印象を持ちました。謎のアーティストです。
ビデオが流れる間、嵯峨さんとは、内モンゴルの馬頭琴普及状況の話に始まり、民族音楽・楽器とその伝承についていろいろ思うところを語り合うことができました。
オ・ジョンヘさんは、映画『風の丘を越えて~西便制(ソピョンジェ)~
』(1993)で有名ですが、そのパフォーマンスに接するのは実は初めて。すごい声・歌。びっくりしました。
利尻島ビデオに関する、お二人の批評は、ためになりました。
映像素材そのものに関しては、やはり悪くないようです。田原の腕がいいと言いたいところですが、ほとんど夏の利尻の美しさによるものです。
編集に関しては、まだまだ改善の余地あり。嵯峨さんからは、音楽家として見た場合のアドバイス(音楽と映像の同期について)を、ぽん田中さんからは、ビデオ編集経験者としてのアドバイス(見る者にとって見やすい編集カットの時間について)をいただきました。
さて、本題二つ。
タルバガンの3rdアルバムについては、今月末から来月初めにかけ、札幌市内某所で、収録曲の決定・その演奏構成が決められ、仮録音することが、決まりました。
2ndアルバム「マイタイガ」から早五年。やっと実作業開始ということになりそうです。
全体的なプロデュースを田原が行い、特に音楽プロデュースはタルバガン自身が行います。
まあ、いままでと同じっちゃあ同じ形ですが。
三者が三者ともそれなりの経験を積んだので、うまく行けばそれなりのものが出来上がることでしょう。うまく行くよう、がんばります。
9月21日(火)の中森花器店「ブックスボックス クス・クス ナイト」については、嵯峨さんの内モンゴル帰国報告話・スライドショー+馬頭琴生演奏という形で行うことにしました。嵯峨さんの注目アーティストとして、スチンゲレルさんビデオちょっとだけ流す、なんてのもありかな。でもそれじゃせっかくの「ライブ」の興がそがれるかな・・・。
なにしろ、詳細につきましては、近々、このBLOGなりなんなりで、お知らせします。
どうぞご注目ください。
ご来場、お待ち申し上げます。
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