20050824 「イサム・ノグチ」札幌ツアー・綿引幸造・田原元江
8月27日「イサム・ノグチ」札幌ツアーをしようと思っていたんだけど、どうも台風11号の影響で、悪天候になりそうな気配。それでも行きますけどね(札幌芸術の森美術館「イサム・ノグチ展」は会期が28日まで。モエレ沼公園・ガラスのピラミッド:坂田栄一郎
さんの展覧会「天を射る」も同様)。雨・風のほうが人がいなくていい、という考え方もありますし。荒天のモエレ沼公園、それなりに面白そう。
以下、ツアースケジュール(笑)です。参加したいという奇特な方は ご一報を。常時同行・見学というようなもんではなく(それはこちらも正直めんどくさい、笑)、どこかでなにかのタイミングで茶飲話でも、というノリでいきたいです。
ただ、雨具と悪天へのそれなりの覚悟、忘れずに!
ツアーレポート、お楽しみに!
午前10時 : 札幌芸術の森美術館 集合 「イサム・ノグチ展 ゼロからほとばしるエナジー」
午後0時-2時 : 移動・昼食・大通公園「ブラック・スライド・マントラ」で遊ぶ
午後2時 : モエレ沼公園
午後5時 : 解散
イサム・ノグチの人と仕事への理解を深める本です。
『イサム・ノグチの世界』(撮影・綿引幸造
ぎょうせい 19980630) 27日のツアー予定地であるモエレ沼公園や大通公園の「ブラック・スライド・マントラ」はもちろん、香川県牟礼町のイサムノグチ庭園美術館を始めとして日本全国(酒田市・土門拳記念館の庭、東京・草月会館「天国」、大阪・万博公園の噴水、広島市平和記念公園、等々)・世界各国(イスラエル・エルサレム、フランス・パリ、イタリア・ボローニャ、アメリカはニューヨーク、マイアミ、デトロイト、シアトル、ロサンゼルス、等々)の、イサム・ノグチ作品を、写真家の綿引幸造が現地で撮影、という本。
イサム・ノグチの仕事がいかに世界的なものであり、かつ日本風味をたたえたものであったかがよくわかる。ドウス昌代さんの本がいかにイサム・ノグチの仕事を「文字」であらわしていたかもよくわかった。
実は、綿引さんは、たまたま、うちの父方のおばあちゃんの写真も撮って下さっている。
1989年に、綿引さんが出された、利尻礼文サロベツ国立公園指定15周年記念の「最北 夏の光響」という写真集がある(森繁久弥さんのお言葉と立松和平
さんの「エッセイ」も載っている)。
手元のその一冊は、綿引さんの「謹呈 田原元江様」というご署名入り。1990年代前半だと思うけど、利尻島の実家に里帰りした時、ばあちゃんに、自慢げに見せられたのだった。利尻島撮影中の綿引さんの写真のモデルになって、そのお礼に綿引さんから一冊いただいたものらしい。風景写真集なので、ばあちゃんが本編に写ってはいないのですが。それでもちゃんと謹呈くださるあたりに、綿引さんの人柄がしのばれる。
35Pの「花咲く海岸と岩礁」という写真は、母方の祖父が経営していた鰊場の跡を撮影したものだったりして、それも印象深い。
その後、綿引さんとは、ICCでちらとご挨拶する機会もあり、自分が利尻島出身であること、ばあちゃんが「最北 夏の光響」をいただいていることもお話できた。
今度お会いすることがあれば、イサム・ノグチの作品群撮影のエピソードなど聞いてみたいものです。写真撮影のためとはいえ、これだけ網羅的にその作品に接している人もそういないでしょう。
『ロングセラー・デザイン 文房具から椅子まで』(コロナ・ブックス編集部 平凡社 20030718)。巻頭文、柏木博
さん。
「何十年にもわたって、製造・販売され続けている「ロングセラー商品」の中で、デザイナーのスピリッツやメーカーの情熱が宿り、デザイン性の高いものを「ロングセラー・デザイン」と呼ぶ。本書では、基本的に1970年以前につくられ、現在も購入できるプロダクトを取り上げる。どれも、現代人のライフスタイルに欠かせない傑作ぞろいだ。」ということだそうだ。MoMA(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクションに選ばれるレベルの世界のデザイン・プロダクトが紹介されているんだろう。
いろいろ書き留めて置きたいことはあるんだけど、とりあえずイサム・ノグチに関する箇所をピックアップする、と。掲載されているプロダクトは、「あかり 33X」(1953-)「プリズマティックテーブル」(1957)「ロッキング・スツール」(1954)「コーヒーテーブル」(1944)「サイクロンダイニングテーブル」(1955)。今も購入可能なんだ・・・。ちゃんと値段がついている。買う金がない・・・。入れ物の建物そのものが、そんなもの置けるレベルじゃないし・・・。芸術の森のショップあたりに置いてありそうな気が・・・。泣くかも・・・。
気を取り直して、72-73p「ヒストリー」を読んでみよう。
「日本人の父親とアメリカ人の母を持ち、そして幼少の頃から日本とアメリカを行き来していたイサム・ノグチは、自らを<東洋を西洋に伝える通訳者>と任じていた。自然からインスピレーションを得た、非常に抽象的で彫刻的な家具デザインは、たいていの場合、自然の風景の本質を表現することを意図している。それは日本的な感覚でもあるが、純和風の様相なのではない。精神的にも肉体的にも西洋と東洋のはざまをさまよい続けてノグチ独自のものなのである。」
「ノグチは本来彫刻家である。日本では石を主な素材として用いることで知られているが、二十代の頃よりバックミンスター・フラーの宇宙的、科学的思考に強く影響を受け、アメリカでは金属の彫刻作品もいくつか手がけている。その金属の彫刻の延長線上にあるともいえる家具が”プリズマティック・テーブル”である。このテーブルは一九五四年のスケッチの中に、ロッキング・スツールのデザイン案とともに”スキン・ストレス・ファニチャー”という名で描かれている。これは、荷重を分散させるために座の天板の表面を利用するという方法を示したものである。一九五七年には日本の折り紙を連想させるプリズム形の立体的で繊細なテーブルに仕立てられたが、現在ではもとのスケッチに近いストレートな脚に戻っている。シリーズとして続いていた”あかり”を除けば、これがノグチの最後の家具作品となった。」
一応、ほかのアーティスト・デザイナーさんの名前も一部。チャールズ&レイ・イームズ、ル・コルビュジェ
、フランク・ロイド・ライト
、アルネ・ヤコブセン
、柳宗理
、剣持勇
。
『はじまりはダ・ヴィンチから 50人の美術家を解剖する』(布施英利
エクスナレッジ 20050120)
イサム・ノグチについて書かれた文章は、2003年9月のもので、牟礼町のイサム・ノグチ庭園美術館を訪れての印象記。「エナジー・ヴォイド」が紹介されている。文章としてはあくまでエッセイどまりで、とてもイサム・ノグチが「解剖」されているとは思えないけど(職業柄、そういう題名にしなきゃならないんでしょうが・・・)。なにせ、ドウス昌代文、読んじゃったあとでは・・・。
次に紹介されている、ヤノベ・ケンジさんに関する文章は面白かった。ここにも万博=EXPO70が!
一応、ほかのアーティストさんの名前も。
[クラシック]
レオナルド・ダ・ヴィンチ / レンブラント
/ カラヴァッジョ
/ セザンヌ
/ ピカソ
/ カンディンスキー
/ フリーダ・カーロ
/ 雪舟
/ 大仙院
(枯山水庭園)
[現代の美術]
「絵画・平面」
千住博(日本画) / 岡村桂三郎
(日本画) / 東山魁夷
(日本画) / 村上隆
(日本画) / 奈良美智
(絵画) / 森村泰昌
(自画像) / 宮島達男
(電子絵画) / 横尾忠則
(絵画) / 田島征三
(絵本) / 池田満寿夫
(版画) / ナンシー関
(消しゴム版画)
「彫刻・立体」
舟越桂(彫刻) / 外尾悦郎
(彫刻) / ジュリアーノ・ヴァンジ
(彫刻) / 青木野枝(彫刻) / イサム・ノグチ
(彫刻) / ヤノベケンジ
(立体オブジェ) / 明和電機
(ナンセンスマシーン) / 四谷シモン
(人形) / パトリシア・ピッチニーニ(立体オブジェ) / 須田悦弘(彫刻) / 松村しのぶ
(フィギュア)
「写真・映像」
野口里佳(写真) / 石川直樹
(写真) / 藤原新也
(写真) / 束芋
(アニメーション) / 山村浩二
(アニメーション) / 岩井俊雄
(映像) / スタジオ・アッズーロ
(映像) / 黒澤明
(映画) / 岩井俊二
(映画)
「デザイン・建築」
三宅一生(ファッション) / 山本耀司
(ファッション) / 安藤瞳子(華道) / 西川寧
(書道) / 蔡國強(空間) / 内藤礼
(空間) / ジェームズ・タレル
(空間) / 安藤忠雄
(建築) / フンデルトヴァッサー
(建築) / アルヴァー・アールト
(建築)
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント