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20050831 坪内祐三・神蔵美子・末井昭



 村崎百郎 記事は こちら


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 「20050820 1957生・1958生・1959生」を読んでくれた東京・Aさんからメール(Aさん、ありがとう)。

「同世代に関する記述があったので、参考図書に関する情報をメールします。(中略)その本は、坪内祐三さんの『一九七二』(文藝春秋?)。手元に本がないので多少あやふやなところがありますが、「ぴあ」が創刊され、横井庄一さんが帰国し、浅間山荘事件が起きたこの年は、日本にとって一つの分岐点だったのではないかというのを、いろんな角度から考察した本です。(中略)私にとっては特に浅間山荘事件が印象的で、ちょうど祖母が亡くなり、葬儀の前後で親戚が大勢集まっている状況のなかでテレビ中継を見ていたのをいまも鮮明に覚えています。
 坪内さんと同年生まれの田原さんが読めば、また違った発見なり感慨なりがあるのではないかと・・・。」
 そんなわけで、『一九七二 「はじまりのおわり」と「おわりのはじまり」」』(坪内祐三 文藝春秋 20030425)、読みました。
 前半部では「連合赤軍」周辺、後半部では音楽シーンについての記述が興味深い。同世代本として読んでいるので、パンタ@頭脳警察(1950.2生)・松本隆(1949.7)・矢沢永吉(1949.9)が同学年という指摘が面白かった。ちなみに、村上春樹(1949.1)。
 ということで、坪内祐三さん本、次は『慶応三年生まれ七人の旋毛曲り―漱石・外骨・熊楠・露伴・子規・紅葉・緑雨とその時代』(まさしく「同世代」本!)、読みます!

 「一九七二」連載中の2000年12月、盛り場で暴漢に襲われ重傷を負った坪内さんの写真が登場するのが、『たまもの』(神蔵美子 筑摩書房 20020425)。--->> こちら で販売中
 「現象」だけ見れば、1990年ある女性と挙式寸前の坪内祐三に出会った人妻神蔵美子がそのまま坪内さんと結婚、1996年に妻帯者末井昭に出会い坪内さんと別れて末井さんと結婚、その間の人間模様を、写真と文で綴った本、ということになる。そういうのに耐えられない人には、反道徳的な公私混同スキャンダラス告白本、として一蹴されそうだけど、田原(今回二度目の通読)には、やっぱり優れた純愛小説に思える。「純愛」しかできない、神蔵さんの人間性のなせるわざなんだろう。
 神蔵さんのような人が自分の身近にいたら、間違いなく好きになるだろう。そして、どうこうしようとしても、フラレルだろう。それも、間違いない。

 その神蔵さんをその時期の神蔵さんの精神的葛藤とともに引き受けることになった末井昭さんが、WEB上(ONLINE パチンコ必勝ガイド:http://www.byakuya-shobo.co.jp/pachinko/)に掲載した日記の2000年4月17日分から2003年4月16日分を本にしたのが、『絶対毎日スエイ日記』(末井昭 写真・神蔵美子 アートン 20040430)。(WEB「絶対毎日スエイ日記」:http://www.sundial.co.jp/cgi-bin/byakuya/suei/read.cgiは、現在も更新中)
 (2000年)「9月30日(土) 向ヶ丘遊園」分の日記が印象的。実は、田原も、最寄駅が小田急線向ヶ丘遊園駅という時代があって(1980-1985)、一度、末井さんともとあるスーパーのレジで接近遭遇したことがある。「ウィークエンドスーパー」や「写真時代」の読者だった田原はなんとなく末井さんの顔を見知っていて(特徴のあるお顔だと思うし)「あ、末井さん・・・」と思ったのだ。実は、末井さんは、向ヶ丘遊園駅近くのご自宅に30年近く暮らしていたそうで、どっかで会ってもなんの不思議もなかったんだろうが。
 そしてその「遊園の家」を家出して、神蔵さんと暮らし始める。
 なるほどこれが、神蔵美子さんの選んだ男か、ってな感じ。カナワナイ。

 それにしても、もろもろの「事件・事故」を乗り越え、執筆活動旺盛な「同学年」坪内祐三さん。
 すごく「強い人」なのかも。
 三人が三人とも「強い人」とも言えるが。
 その強さが、それぞれ違って、なんとも面白い。


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