20051016 黒田晃弘・利尻-横浜-新日曜美術館・円空?
黒田晃弘さんは、似顔絵アーティスト。
現在、「横浜トリエンナーレ2005「アートサーカス」」に参加中。
16日、「横浜トリエンナーレ」特集の、NHK-教育「新日曜美術館」に登場。
毎週かかさず見るTV番組に、身近なアーティスト、うれしかった!
今年の6月14日から21日まで、黒田さんは、利尻島の田原の実家に滞在。
島の人の顔を何枚も描きました。こちらを:http://booxbox.cocolog-nifty.com/tahara/2005/06/20050622_a3c8.html
2005/06/14 利尻島到着当日の黒田さんと、モデルになってくれた、田原の小・中時代のクラスメート・旧姓S田さん、とその似顔絵
2005/06/15 田原の母校の仙法志中学校の後輩たちが、美術の授業時間を利用して、アトリエ化した田原家の倉を訪問
2005/06/15 仙法志中学校の先生お二人が、モデルに
その中の気に入った絵を引っさげての、横浜入り。
そのときの絵の何枚かも、TV画面に映っていました。
紙に墨で描く似顔絵、という超アナログな手法。
が、黒田さんはれっきとした現代作家です。
似顔絵を描いて売って生計を立てています。
その点は、普通の似顔絵描きと変わりはありません。
似顔絵は、普通、「物」として、似顔を依頼した人の手に渡ります。
黒田さんの似顔絵は、モデル以外の第三者(ときには作家本人)の手にも渡ります。
なぜなら、似顔絵を描くこと・その作品群を、「表現」と捉えているからです。
よい「表現」には、評価(とそれに対する作家の反応)が当然ついてきます。
現代美術に特有、宿命といってもいいかもしれません、の「作家性」。
それは、へたな作家のものならうるさいだけです。
黒田さんは、「作家性」と無縁の、「似顔絵描き」という行為にこだわりました。
そこで、逆に、大いなる「作家性」を発見・発現してしまったわけです。
目立ちますよね、周りが「デジタル現代」してるなか、いまどき手描きですから。
だからこそ、利尻島あたりの一般ピーポルにも受け入れられたのでしょう。
描かせてもらう描いてもらう、という、うるわしい関係が出来上がったのです。
直接対面し対話し、共同で作品を作る、実は、これこそ「現代的」なのでは?
黒田さんの意識も、現代作家的・戦略的です。
似顔絵はすべて、作家自身によって撮影され、デジタル画像として残されます。
実はその撮影は、名札を持ったモデルさんの写真とセットになっています。
日付とモデルの記録とともに、データベース化されるのです、作家自身の手によって。
黒田さんが今のまま活動を続ければ、数万枚に及ぶ作品群を残すことでしょう。
コンセプト・フォーマットの優れた同一性、多様性は損なわれない、という優れた。
それはまた、データベース化されている以上、容易に回顧・全集化が可能です。
一点一点、自分のものにしようとするコレクターが当然現れるかと思います。
円空の木彫り仏像を思い出します。
あれも、コンセプト・フォーマットは同一ですが、多様性に富んでいます。
旅の記憶、人の記憶とともにあります。
黒田さんも、旅をし、絵を描き続けることで、現代の円空たりえるかもしれません。
一番最初に会ったとき、基本的・基礎的な肉体トレーニングの話をしました。
絵を描くなら、デッサン。
アナログな行為、そこからしか始まらないでしょう、というような話。
黒田さんが、今後も、そのデッサンの力を生かし、活躍されることを祈っています。
新日曜美術館、山根基世アナウンサーも、描いてもらってました。
描きあがった絵を見るときの、原初の喜びとも言えそうな、うれしそうな顔。
自分の似顔はいま利尻島にあります。
また描いて欲しいなあ、いろいろ話をしながら。
NHKオンライン ホームページより
新日曜美術館
「体感!アートサーカス 横浜トリエンナーレ2005」
前9・00~10・00
(再)後8・00~9・00
2001年に始まった現代美術の祭典横浜トリエンナーレ。その第2回展が、9月28日から、山下埠頭でスタートする。テーマは「日常からの跳躍」。見る-見られるというスタティックな関係を越えて、アーティストと観客が、わい雑に交流する場を出現させようと言うのだ。世界30か国から86作家が参加する。
会場には、常時、何人もの作家たちが常駐し、作品に手を加え続ける。前衛作家の堀尾貞治は、当日から会場の壁に絵を描き始め、トリエンナーレ最終日まで毎日、会場の壁に描き続ける。タイの映像作家ウィットを中心にしたプロジェクトでは、ミュージシャンやアーティストたちがカフェや食堂など7つの部屋を作り、独特の熱気あふれるバンコクの街を表現する。
また、会場の外、山下公園では、中国の作家ジャン・ジェが、半分地中に埋まった家を建てる。観客はその家の瓦を持って帰り、その後作家にその瓦の近況を報告するという、インタラクティブな作品を制作する。また、パリを拠点に活躍する桃谷恵理子は、横浜にアパートを借り、会期中、そこに住みながら、さまざまなアーティストとコラボレーション作品を展開する。総合ディレクター・川俣正氏とともに、会場を巡り、アートとの新鮮な出会いを体験できる横浜トリエンナーレを紹介する。
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コメント
「美術手帖」の2005年10月号、特集は「横浜トリエンナーレへ行こう!」です。見てみました。黒田さんのことは、68Pに小さく(しかも「鉛筆で描く」になってるし)紹介されてました。「新日曜美術館」での取り上げられ方は、それと比較するとめちゃ大きかった・・・。
トリエンナーレのディレクターの川俣正さんも北海道(1953年 三笠市生まれ)出身。いつかお会いしてみたい。川俣さんの、出身地三笠でのアートワーク、田原の利尻でのそれのたまに、きっと学ぶべきものが多いはず。
投稿: 田原@BB | 2005.10.21 10:53