« 20070918 田原書店ノマド・佐々木俊尚 『フラット革命』・安里屋ユンタ | トップページ | 20070922 ブックスボックス 香聡庵・棚出し&お買上・「遠い太鼓」~「使いみちのない風景」 »

20070920 「民藝」 44号・1956年08月・レースの歴史と美/京劇


表紙:岡山県の花莚センター

目次
[京劇と衣裳]//[レースの歴史と美]大村健吉/グラフ[レースの模様]//[ルーマニアの民芸]山本正三/グラフ[ルーマニアの民芸品]/[スイスの山小屋]松方三郎/[水の柳川]野間吉夫/[祖谷の神代踊]久米惣七//随筆/[仙台の七夕]金友五朔/[ほしい大人の縁日]池松文雄/[十和田湖のほとり]式場隆三郎/[SILVERMINE TAVERN]原口喜美子/[フィリッピンの買物]赤尾好夫/[松本のぼんぼん]小林昌人//[京劇]村上知行/[竜門司の窯里]岩野俊夫/[ヴェニス・ビエンナーレで棟方氏入賞]/[高崎の竹皮編とタウト]水原徳言/...


「ルーマニアの民芸品」 (14-15頁)から

発刊時の時代背景を知るには : 1956年


グラフ「竜門司」 (40-41頁)から


「ヴェニス・ビエンナーレで棟方氏入賞」(42-43頁)から

テキスト引用:
5-7頁 [レースの歴史と美]大村健吉

「(前略) レースの歴史的素描
 レースの起りをヨーロッパに探ってみると、エジプト・ギリシャさてはバビロンの栄華を極めた紀元前千数百年にさえ、その源と思われるものが存在したことがうかがえる。今日発見されているエジプトのミイラはすべて刺繍を施し、且つ原始的な形態のレースで縁取りした肌着を身に装っている。更に歴史の書籍を繙けば古代支那、エジプト、ペルシャ、ギリシャの時代における刺繍の叙述が到る処に見出される。思うにレースの祖先は古代の刺繍(カット・ワーク。ドローン・ワーク)、或は漁網に類するものに発するものと思われる。やがてギリシャを経てイタリヤに渡ったレースは、中世紀には専ら修道院で尼の仕事となり、教会用のカーテン、聖壇のカバーなどの装飾品が作られた。此処では時間も労力も制限されない人々によって、ただひたすら神に捧げる物を作るという感謝の気持に満ちて心ゆくまで研究され目ざましい発達を遂げたようである。

 修道院から一般に公開されたレース技術は十五世紀の始めギリシャの植民政策がイタリヤに進出した時、水の都ベニスに伝えられた。ベニスは水にめぐまれているので、魚網作製に馴れて居り、レースは此の地で目ざましい進歩を示し、やがてニードル・ポイント・レース(手針レース)をあみ出し、十六世紀にはレース製造の中心地となった。

 ボビン・レース(糸巻棒によるレース)もその起源をベニスに発するともいわれ、十七世紀に於てはゼノアとミラノがその製造の中心となった。十六世紀末にフランダース(今のオランダ、ベルギー地方)に始められ、十七、八世紀に最高度に発達したボビン・レースはイタリアのものとは別のものといわれている。又十八世紀には、ブラッセルでニードル・ポイントとボビン・レースの組合せにより更に立派な芸術的細工が製作せられた。

 ボビン・レースの名はその用いるボビン(糸巻棒)から来たもので、之は下部に把手のついた孔のあいた糸巻のことである。その他の附属品として、麦桿や乾草と詰めたピロー(枕)が用いられたので、一名ピローレースとも呼ばれる。

 フランスのレースはルイ十四世時代の大臣であったコルベールによって確立された。彼は外国レースに消費していた金銭を全部フランス経済に利用せんが為に、ベニスのレース工場を強引にフランスに移植した。当時ベニスはトルコとの幾多戦争の為に疲弊し切っていたので、このフランスのレース勃興に拮抗する力を持ち合わせていなかった。もともとイタリヤで発生した当時のレースを見ると、網目の部分と、模様の部分は同時に編まれたのであるが、フランスでは此の二部分を別々に作る。"Point de tulle" の新様式が生れた。チュールの名はこの網目の製作の先駆となった「チュール」の町の名から生じたのである。十八世紀にはフランスのレースはリールやヴァレンシュヌを中心に盛んに作られ、個人用衣服としてもより多く使用せられ一般化していった。

 イギリスも又、オランダから技法を輸入し漸次レース製造が普及し、北欧や地中海沿岸諸国もそれに続き、欧州の殆どすべての国にそれぞれ独特のタイプの手工レースが発達し、代々子孫にその技術は相伝えられ、地区毎に独自の特徴を保ちつつ発展していったのである。特に欧州に於てはレースは服飾史上最も伝統色の強いものということが出来る。

 之等手工のレースは非常な労力を要したので、ほとんど教会の装飾品や宮廷服や上流の人々の服装を飾ったに過ぎなかった。婦人はドレス、ドレスの袖口、ボンネットの縁飾り等々、男子は衿、ジャボ、クラバット等に使用したのである。教会内では、祭壇天蓋。聖餐布、袈裟に至るまでレースを使った。(後略)」



 民藝 44号は、ブックスボックス 田原書店 で、販売中(一部限り)です。

HW5041 民藝 44号 レースの歴史と美 (表紙:岡山県の花莚センター) 昭和31年08月号 1956 東京民藝協会
500円

 ご購入ご希望の方は、ブックスボックス 田原ヒロアキまで、直接メール yoro@booxbox.com でお申し込みください。 送料300円です。



20070830 「民藝」 27号・1955年03月・口絵 日田の皿山/雛人形
20070906 「民藝」 29号・1955年05月・日本民藝館特集
20070907 「民藝」 32号・1955年08月・竹細工/佐渡の風物
20070913 「民藝」 42号・1956年06月・江戸小紋/唐草の模様

|

« 20070918 田原書店ノマド・佐々木俊尚 『フラット革命』・安里屋ユンタ | トップページ | 20070922 ブックスボックス 香聡庵・棚出し&お買上・「遠い太鼓」~「使いみちのない風景」 »

03 「民藝」」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/6458/16511471

この記事へのトラックバック一覧です: 20070920 「民藝」 44号・1956年08月・レースの歴史と美/京劇:

« 20070918 田原書店ノマド・佐々木俊尚 『フラット革命』・安里屋ユンタ | トップページ | 20070922 ブックスボックス 香聡庵・棚出し&お買上・「遠い太鼓」~「使いみちのない風景」 »