20071018 「民藝」 49号・1957年01月・書物の歴史
表紙:染絵・小島悳次郎作
目次
[埋れた美の発見]/[書物の歴史]庄司浅水/[古版本挿絵の魅力]吉田小五郎/[書物と装釘]式場隆三郎/[蔵書票と書籍の装幀]斎藤昌三/アンケート[装幀]/[西洋蔵書票]八木佐吉//グラフ[書籍の変遷]/[古版本の挿絵]/[西洋の蔵書票]/[和装本]//[世界一の大紙凧]久米惣七/[柱時計の想い出]池田三四郎//...
[書籍の変遷] (10-11頁)
発刊時の時代背景を知るには : 1957年
[古版本の挿絵] (14-15頁)
[西洋の蔵書票](28-29頁)
テキスト引用:
2-9頁 [書物の歴史]庄司浅水 より 「六」
「 ところで、書物を工芸的に見て、世界で一番美しく印刷されたものはなんだろうか。それは一九世紀のイギリスが生んだ、すぐれた作家、詩人、工芸家、社会改良家ウィリアム・モリスが、晩年に畢生の事業としてはじめた私家版印刷所 (private press) ケルムスコット・プレスで製作した『チョーサー著作集』で、エドワード・バーン・ジョーンズの美しい挿絵八七個で飾られ、本文活字、頭文字、縁飾り等はすべてモリスの図案になり、一年九ヵ月の歳月をついやして完成した。わが国には東京大学図書館と、丸善本店内の「本の図書館」にある。丸善本は戦後に数十万金で入手したもので、モリスからバーン・ジョーンズ夫人に贈った、モリスの署名入り本である。
このほか、イギリスにはモリスの流れを汲み、限定私家版を試みた者にコブデン・サンダーソンのダヴス・プレス、ホーン・ビイのアシェンデン・プレスなどがあり、いずれも小部数の美しい限定出版を刊行した。
また海外にはエジション・ド・ルックス(Edition de Luxe) といって、用紙・印刷・装てい等に特に心を用いた、小部数の本が刊行されている。多くは特漉の紙を用い(よく日本の局紙が使用される)、エッチングの挿絵に手彩色を施し、仮とじあるいは折ったままで売りだし、読者がその好むところにしたがって、装ていさせるようにできている。これはフランス本に多く見られる。こうなると、書物もりっぱな工芸品の一種で、美術工芸展の出品の中にしばしば見ることができる。
日本でも、最近、私家限定版と称するものがなかなか盛んだが、内容・造本ともに似て非なるものが多い。わが国でこの種刊行物の製作にあたり、最大の悩みは活字の文字の多いことであろう。これからは比較的文字が少なくてすむ詩歌書類あ、本活字を利用するのも一法であろう。あるいはアンリ・マチスの『ジャズ』のように、筆者の筆跡をそのまま版におこした石版印刷などもおもしろいだろうし、かつて寿岳文章氏の向日庵で『絵本どんきほうて』に用いた合羽版などを利用するもの一法であろう。(後略)」
民藝 49号は、ブックスボックス 田原書店 で、販売中(一部限り)です。
HW5044 民藝 49号 書物の歴史 (表紙:染絵・小島直次郎作) 昭和32年01月号 1957 東京民藝協会 500円
ご購入ご希望の方は、ブックスボックス 田原ヒロアキまで、直接メール yoro@booxbox.com でお申し込みください。 送料300円です。
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