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20080620 (制作)業務日誌・CD制作期の終わり・鈍感愚鈍という能力

 6月×日

 津軽三味線・新田昌弘さんの『SHAMISEN KID』。

  

 2000年に、ブックスボックスが制作したその音楽CDが、この日配信業者とのデータ交換作業をすべて終え、2008年7月23日から、日本はもとより世界各地の音楽ダウンロードサイトから配信されることに。

 それはまた、ブックスボックスのCD/DVD制作時代が本当に終わったということでもある。

 ちょうど十年前の1998年から、音楽CD制作・販売業務を始めて、2005年までに全部で7タイトルを発表した。そのなかの5タイトルが、音楽配信サービスを通して、世間に出ることになる(残りの2タイトルは、諸事情により、少なくともブックスボックスが販売元として、世に出ることはない)。

 第一作の「タルバガン、大地に立つ」の発売開始が、忘れもしない、1998年4月1日のこと。
 なんて幸せな十年間だったことだろう。あまりの幸福感・陶酔感に、経済的不安・貧乏の恐怖を感じないでいたほどだ(笑)。そして、しっかり、数字は嘘をつかない、ちゃんと、一文無しになった。

 それにしても、ダウンロード可能になる、iTunes Music Store のリスト。
 日本 JP やアメリカはもちろん、カナダ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランド・フランス・ベルギー・デンマーク"・ドイツ・スペイン・フィンランド・ギリシャ・アイルランド・イタリア・ルクセンブルグ・オランダ・ノルウェー・オーストリア・ポルトガル・スイス・スウェーデン、ようするにかつての言い方で言うところの、西欧諸国がほとんど全部。

 2000年の『SHAMISEN KID』制作当時、こんな風に売ることが出来る世の中が来るなんて思ってもみなかった。
 まったくもって、そんな時代に、制作者として生まれついたことは、運がいいとしかいいようがない。
 しかも、気がついたら、それらの原盤権を保有する会社まで作って運営していた。これも運がいいとしかいいようがない。
 


 6月×日

 しかしまあ、その「貧乏」からはやはり脱却しなくてはならない。

 2006年2007年と、本当に経済的に苦境にあった。「自分は、運が悪いんではないか」とつい思ってしまいそうなくらい。
 それも、2008年に入って、経済的にも、上向きつつある感じを持てるようになった。

 おかげさまで、古書店の仕入れに、今まで以上に、お金をかけられるようになった。
 古書店開店から丸二年強、ある一定の在庫数に対して、一ヶ月の間に売れて行く冊数の比率が、わかってきた。
 当然、損益分離冊数もわかり、そこから必要在庫数もおのずと導き出される。
 2007年までは、その必要在庫数を把握しつつも、資金を投入できない状況だったんだけど、2008年の春から、あるきっかけ(これはまだ内密)で、わずかずつではあるが、その「数」に向って動いていけるようになってきた。
 まだ道のりは遠いし、今後は、その「数」に到達するまで、待ち受ける単調で決して減ることのないそして少しでも手を抜いたら作業量が倍々増する雑作業との戦いが延々と続くのだけれど。

 それでもやはり、自分は運がいいと思う。
 ブックスボックス設立以前、まだ大阪で勤め人をしていた1996年、同報メールで内輪でネット配信を始めたのが 「ポルケ・ブック・レビュー」 http://booxbox.cocolog-nifty.com/tahara/cat20251152/index.html
 ただの給与生活者が、自分で書きたいものを書いて、ちゃんと読者が持てるだけでも幸せだと思うべきときに、「レビューを読んで、その本を読みたいと思った人が、そのままコンピュータ上で買えるようにならないかなあ」と、レビューを配信している間(2000年ころまで)ずっと思っていた。
 なんと、それも、こうして実現してしまった。

 思いもよらず、好きな、音楽作品の制作者になれて、どの作品もその内容を誇れるものであって、販路を持って大手CDショップの棚にも並び、さらに世界中の人に聴いてもらう機会を持てた。
 そんな時代より前に、上述のように、本の目利きたらんとした時期があって、そのことは音楽作品制作者の時代には忘れていたんだけれど、今思いもよらず(本当に・・・)、本の目利きとして生計をたてて生きていくことになっている。

 成りゆきで生きてきただけなのに。

 成りゆきで生きていると、決して金持ちにはなれない。努力しなきゃ。

 でも、世の中、努力しただけ、幸せになれるかというと、そうでもなさそうなんだよなあ。

 おかげさまで、もう十分幸せだ。あとは、もうちょっと努力して、金持ちになって、十二分に幸せになることだけだ。

 そういう成りゆきなんだろう。きっと。


 6月×日

 先日の、東京講座講師も、実にいいタイミングだった。

 それより早い時期に呼ばれても、金銭的な不安で(東京に出て行くことができるのかどうか、旅費・宿泊費は先方持ちだというのに!)出られなかったかもしれない。

 自分が今作れるであろうものの萌芽を人目にさらすことで、次のステップが見えてきた。

 自分のテーマ発見し、自分のスタイルを開拓して、お金をかけないで、お金になるような形で、作品化していくこと。
 そのすべての課題を今クリアできた感じがしている。

 作品を作り売っていくための、仕組み・インフラ・システムも、ほとんど出来上がった。
 Just do it.

 ブックスボックスを創設(1997年)して、十年余、止めないで本当によかった。

 行き当たりばったりの成りゆきまかせ野郎だったんだけど、その都度、それなりにちゃんと考えてこれたということなのかな。

 普通に人様が感じるであろう様々な恐怖に対して鈍感だっただけ、要領が悪くて愚鈍だったんで止められなかっただけ、かもしれないな。

 それも能力・才能なのかな。


 6月×日

 『SHAMISEN KID』、やっぱりいい。

 新田くんは、天才演奏家だ。

 タルバガン=等々力政彦+嵯峨治彦 の二人もそうだけど、なんでそんな人たちに出会えちゃったんだろうね。

 謎だ。

 はっきりしてるのは、自分はやっぱり運がいい、ということだ。

 ようこそ、ようこそ。

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