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録音の日々~小鳥が飛んだ

 10月16日~21日・レコーディングの記。

 10月16日----------

 録音1日目。札幌

 岡田浩安さん指揮のもと、
 札幌は石山の高橋卓二さんのスタジオで、昼から録音開始。

 瀬尾くん、やっぱり素晴らしい。打たれた。笑った。
 録音したのは「鳥」「君と月のステップ」「ふたつの小鳥」
 急きょ予定外の一曲「星の舟」にもベースに入ってもらうことになり、即興的なベースと歌った。おもしろかった。ぞくぞく。
 ……瀬尾くんの写真を撮るのを忘れた!ち!
 
 夜中2時、この日の録音を終え、岡田&ブックスボックス田原&私のハラペコ3人、吉野家で豚丼を食べる。
 常宿会館に帰り、眠ったのは3時過ぎ。明日は朝9時のヒコーキだ。7時前には起きなければならん、絶対に乗り遅れるわけにはいかん……。そう思うと熟睡できずじまい。

  10月17日----------

 録音2日目・札幌→東京

 東京へ向かう。
 空港で岡田と再会(昨日会ってるってば)。
 「……顔色、悪いね」と岡田。
 「あ、白い? へへ」と私。
 「うん。嵯峨さんみたい」
 「あー、嵯峨さん、けっこう疲れてるよねえ」
 などという、かなりぼんやりとした、嵯峨治彦さんにまつわる会話などしながら移動。目下のところ、多忙な馬頭琴奏者の嵯峨さんの録音が間に合うのか?というハラハラをかかえている。

 東京は東村山山本恭久さんのスタジオに到着!
 
 遠いところからようこそー、と、おちゃめなメガネをかけた山本さん。彼はパーカッショニストで、レコーディングエンジニアであり、自分のレーベルを持つ音楽プロデューサでもある。
 「……東京かあ……」と私がつぶやくと、
 「いや、ここ、東京じゃないから」と山本さん。「西東京。いわゆる埼玉地区。いやいやー、東京を越えて、よくぞここまで」と冗談を放つ。

 べーシストで役者さんの田原キヨさんとも対面。フレットレスベースの心地よい響き。とっても良い笑顔のひと。ぜったい、いいひと。後で岡田サンいわく。「彼、いい男、ビジュアルばっちり。あ、写真とらなかったの?」ああ、しまった、またしても写真、撮り損ねた、ち。

 ピアニストでソングライターで歌い手の、ECOさんとも会う。彼女のやわらかい話し方とその顔立ち、知人によく似ている。ECOさんはカスピ海ヨーグルトを食べていた。その感じも、よく似ている。

 「遠い国」の仮歌とオケの録音。
 ああ、みんな、プロだ。譜面読んでる。間違えない。
 私は睡眠不足と移動がたたって、もうへろへろ。全身にトリハダが立つくらい疲れていて、はじめて伺ったおうち(スタジオ)なのに、いきなり、ごろごろしていた。ごろごろしていると頭のてっぺんの方角から「遠い国」の演奏が聞こえて実に気持ち良く、どこか果てしない遠い国に行ってしまいそうだった。ああ、なんてリアルな創作の場、録音進行だろう。(おいおい……)

 本気で倒れそうなので、申し訳ないがホテルに戻って3時間、眠る。
 爆睡後、ホテル近くの居酒屋で、山本さん岡田サンと、おそい晩ごはん。

 10月18日----------

 この日は録音ナシ。オフなのだ。

 昼おそく、てくてくと散歩しながら、山本スタジオへ。
 写真は、途中で渡る橋の上から撮ったもの。

 部屋に入ってゆくと、
 「犬伏です!」と明るく元気よく、真正面顔で迎えてくれたのは、おお、犬伏青畝ホセくん! 今まで、彼のギターの音とは一緒に歌っていたけど、本人の顔を見るのは、はじめまして! そうか、そんな顔してたのか。なかなかどうしてサワヤカな青年ではないか!熱い握手。「ホセくん!よろしく!」
 ホセくん山本さんと、わーわー言っていると、
「……よかった。いつものテンションに戻ってる」と、ぼそり、岡田、笑う。
 昨日は、自分、やはり、相当、おとなしかったようだ。

 昨日できあがった「ふたつの小鳥」の仮歌入りオケを聴く。
 こ、これは……なまらイイっす!(瀬尾高志ふう)いや、ほんとおに、いい。山本さんのパーカッション、瀬尾くんのウッドベース、ホセくんのギター、そして!岡田さんのサンポーニャに涙が出る。二羽の小鳥がほんとうにほんとうに飛んでいる、いろいろな風景の中を、風に乗って。ああ、信じられない!この曲を作ったときに思い描いた風景がはっきりと鮮明に、カタチになって、今、ここにある。(いや、それ以上だ)岡田サンって、改めてすごい。それに、私を、理解している。

 夕方、知人に会いに南青山へ。久しぶりの人。会えてほんとうに良かった!

 夜9時ごろ、南青山を出て四谷へ向かう。四谷のライブハウス「メビウス」に岡田サンたちのライブを聴きに。道に迷い、たどり着けないかと思った……。メビウスは地下だから携帯は通じないし、しかも、岡田サンが教えてくれたメビウスの電話番号は「オカケニナッタデンワバンゴーハ、ゲンザイ……」間違えてるときた!岡田くんてば。
 「遅かったですねー。ナンパかなんかされてましたあ?」と、ホセ。
 ……あまりの都会にちょっと迷ってただけさ、ふ。

 真夜中近く、久米川の宿に戻り着く。ミルク系缶コーヒーを買って。

 10月19日----------

 朝から雨ふり。台風が近づいている。
 今日はホセくんのギター録音。

 昼、保谷駅で、ホセくん岡田さんと待ち合わせて、蕎麦を食べてから、録音。夕方、終了。ホセくんはバイトへ、岡田サンは横浜へ。
 私は、宿の近くのSEIYUで食料を買い込み、宿に戻り、明日からの歌どりに備え、部屋で歌の練習。
 ひさしぶりにテレビを見る。「北海道の野生の花」というような番組をやっていて、ああ我くに(北海道)の野生や風や空は、ほんとうになんていいのだろう、と、心からそう思い、自分の体がその風景に溶け込むような感覚に、しばしひたっていた。

 10月20日----------

 昼から、歌の録音。 
 札幌から着いたブックスボックス田原も合流。
 外は大雨。台風が近い。夜ごはんを食べに行った定食屋で、ニュースを見る。水びたし!

 「いつかふたりで」という楽曲の歌詞について、山本さん、妙に興味を持って、つっこんだ質問を(しかもしつこく)してきて、笑った。興味を持ってもらえたことが、とってもうれしかった。

 4曲、録音終了。
 「明日のために、もう帰りなさい」
 と、いうことだそうで。はいぃ。夜11時すぎ、私は宿へ戻る。残ったみんなは細かいパート部分の録音などを続けていた。
 宿で充電中の携帯電話に、田原から、明日の予定変更の連絡。
 電話に出たとたん「はやく寝なさい」だって。はいぃ。

 10月21日----------
 
 昼から、歌の録音開始。今日録音の予定は5曲。
 ちゃくちゃくと、進む。

 夕方、山本スタジオの外(5階)で休憩をしながら、富士山と、まぶしい橙色の落ちかけた太陽を眺める。

 6時ころ、アコーディオン奏者のロケット・マツさん登場!

 その名前からして、どんなごついレスラーが来るのだろうと思っていたら、まったくなんて柔らかい表情。なんてやさしい空気を持つ方。そして、感動。マツさんの音「一緒にうたって」いる!
 いったいなんだこれは……札幌の瀬尾くんのベースと、マツさんのアコーディオンと、歌、ウソみたいに絡み合って、新しい不思議な世界が、ここで生まれようとしている……。ウソみたいに、みんながそれぞれ歌っていて、なのにぶつからずに、ありのままで、溶けあっていく。
 何気ないのに、出来上がってみたら、いろいろなことを満たしてしまっている。フラクタルとか、命の起源のようなものまでもを感じてしまった。
 マツさんって、いったい、誰?

 マツさん参加の3曲をとり終え、握手をして、見送り、一同は食事をしに行く。今さっきのマツさんへの感動をしゃべりまくる私。
 「もー、鼻息荒い!」と山本さん。
 「よかったよかった、好きだと思ったんだー。大正解だった」と岡田。

 スタジオに戻り、録音再会。真夜中過ぎ、全曲終了。
 しかし、一曲、どうしても、とり直したい曲があった。
 歌い直した。
 体力も限界に近いこともあり、頭の中は、その曲の中へとトリップしていった。全身が、完全に、いつも犬の散歩に行っている自分の家の近くの浜に立っていた。気持ちのいい風が吹き、カモメが飛んでいるその空には、死んだじいちゃんや、大好きだった叔母が見えた、感じた。
 無理を言ったが、最後にとり直せてもらって、ほんとうによかった。やったぞ、やれたんだ、という思いが、胸に満たされて、とり終えたあと、ひとり外に出て深呼吸すると、泣けてきた(が、半泣きあたりで我慢した)。
 中に戻ると、岡田サンが同じような思いでいるということが解かったし、みんなもそれを感じていることが、なんとなく解かった。

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Comments

写真、追ってアップします、みなさま、もうちょっと待ってね。田原さん、いろいろごくろうさまっす。

Posted by: みほっほう | October 29, 2004 09:22 PM

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